藤浪+榎田、そして......。阪神に「投手王国」の予感あり (3ページ目)

  • 岡部充代●文 text by Okabe Mitsuyo
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 小嶋以外にも、4年目の秋山拓巳、3年目の岩本輝ら、ファームで昇格のチャンスをうかがう若虎たちがいる。彼らも藤浪の活躍に大いに刺激を受けているはず。若手の間に競争が生まれれば、さらなる底上げが期待できる。

 リリーフ陣の活躍も見逃せない。開幕前、タイガースの弱点はリリーフ投手とされていた。絶対的守護神の藤川球児がメジャーへ行き、筒井和也、渡辺亮の左右の中継ぎ2枚も故障で出遅れとなれば、不安視されるのも無理はない。しかし、いざふたを開けてみると、36歳の福原忍、35歳の安藤優也、34歳の加藤康介といったベテランが大活躍。福原は開幕から9試合、安藤は10試合、加藤は8試合、無失点を続けている。

 体調不良で実戦登板が少ないまま開幕を迎えた久保康友も、クローザーとして試行錯誤を続けながら役割を全う。防御率0点台で2勝3セーブは、十分な働きと言える。

 こうした強力リリーフ陣がいるからこそ、先発投手は思い切って投げられる。また、福留孝介の加入で外野守備が安定したことも、広い甲子園を本拠地とするタイガース投手陣には追い風になっているだろう。様々な要素がからみあって、「投手王国」への基盤が出来つつあるタイガース。オープン戦では得点力を増した打線ばかりが注目されたが、やはりバッティングは水物。安定した投手力こそ、首位・巨人を追いかけるための絶対条件だ。

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