【プロ野球】巨人の独走を止めろ!各球団が巨人戦5割を死守する方法 (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yishihiro

 当然、先発ローテーションは日程とのめぐり合わせもあるし、戦う相手は巨人だけでないこともわかる。巨人戦に合わせたローテーションを組むことで、投手陣が崩壊してしまう可能性も否定できない。とはいえ、下位球団のこうした姿勢が巨人の独走を許してしまったことは間違いない。昨年巨人は43の貯金を叩き出したが、そのうち約7割(30個)を広島、阪神、横浜DeNAの3球団から挙げていることからも明白だ。もし、この数字をもう少し減らすことができていれば、ペナントの様相は変わっていただろう。つまり各球団が巨人戦での勝率を5割以上、もしくは5割近くをキープできれば、少なくとも独走は止められたはずだ。

 その最低条件として巨人に連敗をしないことが挙げられる。昨シーズン、巨人戦9勝11敗4分のヤクルトは、3連戦で3連敗が一度もなかった。最低でも1勝2敗で切り抜けることができれば、それほど大きな負け越しにはつながらないはずだ。ところが、先述した広島の巨人戦10連敗をはじめ、阪神は9連敗、横浜DeNAは7連敗と、下位球団はいずれも大きな連敗を喫している。そこに戦い方の工夫があったかといえば疑問が残る。かつて中日で監督経験のある山田久志氏が言う。

「特に下位チームには、何がなんでも巨人を倒してやろうという気迫みたいなものが感じられなかった。それどころか、巨人相手にビクビクしながら戦っていた印象を受けました。そうした気持ちが、失投やエラーにつながってくる。自分たちの戦いをしていなかったよね」

 山田氏の言葉通り、広島は巨人戦で30失策を犯し、横浜DeNAも110の四死球を与えた。広島OBで評論家の山崎隆造氏は次のように語った。

「打線の弱いチームにありがちなんですが、投手が1点も取られてはいけないという気持ちが強すぎて、自滅するケースがよくあるんです。コーナーぎりぎりを狙い過ぎて四球を出し、四球を出したくないから甘くなる。守っている方も1点も与えたくないという気持ちが硬さを招いてしまうと思うんです。打線が上向きになってくれば戦い方も変わってくると思うのですが......」

 そう語った山崎氏が今年の楽しみなチームとして挙げたのが、横浜DeNAだった。昨年の巨人戦はチーム打率.210、防御率5.06、得点56、失点127と数字的に力の差を痛感させられたが、引き分けが3試合、1点差負けが4試合と接戦も多く、あと1本出ていれば逆の展開になっていた試合も多かった。こうした接戦をいかにものにできるかだが、ブランコ、モーガンの加わった打線は、明らかに厚みが増した。実際、オープン戦では12球団トップの18本塁打を放ち、19試合で81得点(1試合平均4.26点)を挙げ、今季初対決となった4月3、4日の巨人戦でも、敗れはしたが8-10、4-7と堂々の打ち合いを演じるなど、今後の戦いに期待が持てる内容だった。

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