【プロ野球】大混戦必至のパ・リーグ。ペナントを左右する新戦力の出来 (2ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Koike Yoshihiro

 そして、オリックスのもうひとつの注目が、森脇浩司新監督の手腕だ。昨シーズンも岡田彰布監督の代行として9試合で指揮を執り7勝2敗。ソフトバンクのコーチだった2006年にも王貞治監督の代行を務め、30勝22敗3分(勝率.577)の成績を収め、チームをAクラスに導いた。この好結果を支えたのが、森脇監督の選手起用における信念である。森脇監督は言う。

「うまい人ではなく、強い人を使う。"強い人"とは勝負できる人。つまり、しっかりとした勝負心を持っている選手です」

 グラウンド外では長く心理学を学び、特に若手の指導に定評がある。先述した通り、昨シーズンも上位を狙えるだけの戦力はあっただけに、森脇監督率いるオリックスは他の5球団にとって脅威となることは間違いない。

 戦力の充実ぶりなら、ソフトバンクも負けていない。なかでも昨シーズン、チーム防御率(2.56)リーグ1位の強力投手陣がさらに厚みを増した。先発ローテーション候補を指折り数えたら、両手でも足りないぐらいの選手層を誇る。

 不動の軸は、昨年の沢村賞右腕の攝津正。その攝津とともにWBCを戦った大隣憲司、昨シーズン高卒1年目ながら8勝をマークした武田翔太も開幕ローテーション入りを果たした。

 そこに新戦力が加わるのだが、大注目のドラ1右腕、東浜巨は開幕6枠を外れることが濃厚となった。オープン戦では3試合で防御率0.82と好投したが、首脳陣は球の勢いと細かな制球面で亜大時代と比べればやや物足りないと判断したようだ。さらに、FA移籍で7年ぶりにソフトバンクに帰ってきた寺原隼人も背中の痛みを訴えて開幕二軍スタートとなった。

 それでも戦力面での不安は感じさせない。メジャー108勝の実績を誇るパディーヤ。そして、新人ではドラフト6位の山中浩史が開幕ローテの座を射止めた。山中は社会人・ホンダ熊本から入団した27歳ルーキー。独特のサブマリン投法が特長で、「オープン戦に2度、投げる時に手がマウンドに当たってしまいました(苦笑)」というほどリリースポイントが低い。オープン戦は3勝0敗、防御率1.59と好投。新人王レースのダークホースとなる秘密兵器だ。

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