【プロ野球】確変の予感。オリックスナインが語る「糸井効果」

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

「糸井の守備力でどれだけ勝敗が変わってくるか。広い札幌ドームでは三塁打を二塁打にすることもありましたが、京セラドームでは糸井のスピードと肩で二塁打をシングルにする場面が増えると思います。それに一塁走者の三進や二塁走者の本塁突入を防ぐことも多くなるでしょうし、バッテリー、特にピッチャーにとっては心理的に大きくプラスに働きそうです」

 この話を聞きながら、以前、星野伸之投手コーチが語っていた言葉を思い出した。

「ランナー二塁でライト前ならOK。点は入らないと思っていました。そう思いながら攻められるだけで、気分的には相当楽でした」

 これは星野コーチが現役時代、ライトを守っていたイチロー効果について語ったものだが、糸井が加わったことで今年のオリックス投手陣には同様の心理が期待できる。球場が広くなった現代の野球で、強力な外野陣を揃えることは覇権奪取の第一歩と言っても過言ではない。佐竹コーチはこんな可能性を口にした。

「じつは、糸井と坂口の守備範囲にはまだ不満があるんです。その点、駿太はオリックス時代のイチローを思い出させる守備範囲と肩がある。もちろん、糸井と坂口の守備はもっと上がってくるだろうから、この3人が並べばとんでもなくすごい外野陣になる。坂口は肩の回復具合もありますし、駿太だってもっと成長しないとレギュラーは難しいかもしれない。だけど、この3人が並ぶ外野守備を単純に見てみたいです」

 阪急ブレーブスの黄金期には福本豊、ウィリアムス、蓑田浩二の3人がいて、1996年に日本一を達成した当時のオリックスにはイチロー、田口壮、本西厚博が並び、鉄壁の外野陣を形成した。もし、糸井、坂口、駿太の3人が並べば、それをもしのぐ史上最強の外野陣誕生の予感も漂う。

 昨年のオリックスは得点443に対し、失点は525。ともにリーグ最下位の数字だが、糸井が打線に加わることでどれだけ得点を増やし、糸井の守りによってどれだけの失点を防げるか。数字的な部分でも大いに期待できそうだ。

 そして最後に、WBCを戦ったからこその"糸井効果"を大島コーチは口にした。

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