【WBC】
元日本人メジャーリーガーたちが語る「AT&Tパークの落とし穴」

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 事実、守備力を買われていた長野久義が打撃不振に陥るとスタメンから外し、中田翔、糸井嘉男、内川聖一と攻撃重視の布陣で臨んだ。しかし、守備力を考えれば、レフトに内川か中田、センターに長野、ライトに糸井という1次ラウンドと同じ布陣も考えられる。勢いを買って2次ラウンドと同じように攻撃型で行くのか、それとも原点に戻り守備力を重視するのか。その決断に注目したい。

 そして最後に、AT&Tパークでの最大の敵は「寒さ」だと、吉井氏は言う。

「とにかくサンフランシスコは寒い。夜になるとさらに気温が下がります。夏でもナイターの試合は肌寒かったぐらいですから。ましてや今回は3月ですよね、めちゃくちゃ寒いと思いますよ。この寒さがいちばん堪(こた)えるのがブルペンなんです。AT&Tパークのブルペンはレフト、ライト両側のファウルゾーンにあり、当然、屋外です。待っている間、体が冷えてしまい、キャッチャーを座らせてピッチングするまでが非常に難しいんです。投げすぎも良くないし、ある程度投げないと体は作れない。ベンチからの指示が少しでも遅れてしまうと、まだ(肩が)できていないということも十分に考えられます。自分の判断も大切ですが、今回はリリーフ専門の投手が少ないので、それも難しい。そういった意味で、ベンチとブルペンのコミュニケーションがすごく大事になってきますし、ブルペンを預かる与田(剛)コーチの役割が大きい気がしています」

 2次ラウンド初戦の台湾戦で、田中将大が自軍の攻撃中に急遽、次の回の登板を告げられることがあったが、この環境でそれは通用しない。

 今まで目立たなかった継投や守備面での隙(すき)が大一番で露見しないよう、今こそ“スモール・ベースボール”の原点に立ち返り、連覇を達成した前2大会のように投手を中心とした守りの野球に徹して欲しいと思う。そうすれば自ずと3連覇の道も開けてくるはずだ。

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