【WBC】侍ジャパン、2次ラウンド突破の切り札は「2番・井端」

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

腰の張りを訴えた内川に代わり3番・DHで出場したキューバ戦でも2安打を放った井端腰の張りを訴えた内川に代わり3番・DHで出場したキューバ戦でも2安打を放った井端 1次ラウンドの3戦を終え、3連覇に挑む侍ジャパンの大きすぎる課題が見えてきた。先発に不安を残す投手陣もさることながら、より深刻なのはつながらない打線だ。日替わりで選手を入れ替えるものの、いまだ打順が固定できないのだから首脳陣の悩みは深い。台湾をはじめ強国が相手となる第2ラウンドは、より厳しい戦いを強いられるだろう。

 苦戦した初戦のブラジル戦、終盤にもつれた中国戦、そして完敗を喫したキューバ戦......3試合で13得点を挙げたが、相手を突き放す決定打が出ず、結果として「1点も与えられない」と投手陣に焦りを生む悪循環となっている。

 キューバ戦のあと、打線について高代延博コーチは「もう少し塁に出てくれれば......」と1、2番の出塁を課題に挙げた。確かに、この3戦を振り返っても1、2番は固定できずにいる。

 ブラジル戦は坂本勇人(通算打率.083/以下同)、角中勝也(.000)の順で並べ、中国戦は坂本、松井稼頭央(.000)のコンビに。そしてキューバ戦では長野久義(.200)、松井と並べた。明らかに調子の上がっていない選手を1、2番に配しているのがわかる。これでは打線がつながらないのも当然か。

 また、キューバ戦では3回に四球で歩いた長野を2番の松井がバントで送ろうとしたが、キャッチャーへのフライになるなど、2番の役割を果たせているとは言い難い。2番は状況に応じた送りバントや進塁打が求められる打順とはいえ、ここまで2番に入った打者に一本のヒットも生まれていないのである。

 宮崎合宿から山本浩二監督は、とりわけ上位には左右の打者が並ぶジグザグ打線にこだわりをみせてきた。確かに投手に球数制限のあるWBCにおいては、投手起用に二の足を踏ませることのできるジグザグ打線は有効かもしれない。だが、2番の適任者を考える時、左打者であることより、調子の良し悪しや打順の適応能力を判断材料とすべきではないだろうか。

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