【WBC】元阪神・矢野燿大が語る「4番・キャッチャー阿部の危険性」

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva

「もし今回のチームにキャプテンや4番を任せられる絶対的な存在感を持った選手がいれば、ここまで阿部選手が背負う必要もなかったと思うんです。でも、阿部選手を超えるような選手はいない。だからこそ、最初から『このチームは阿部のチームなんだ』とチームのビジョンを明確にした。そこまでは良かったと思います。ただ国際大会はいい試合をしても負けたら意味がない。何がなんでも勝たなければなりません。勝つための最善策を考えた時に、阿部選手を4番に据えることが本当に正しいのかどうか、もう一度考えてもいいと思います」

 矢野氏も「4番・キャッチャー、阿部」に期待したいし、それをできるだけの実力も経験もあると評するが、最も恐れていることは打てないことで悩み、それがリードに影響することだと言う。

「今回のWBCで、阿部選手は100%ディフェンスに力を注ぐべきだと思います。そのためにも、いろんなことを想定して、準備しなければいけません。先日のオーストラリア戦を見て、ひとつだけ感じたことがありました。それが阿部選手のミットを構えるタイミングが少し早いということです。キューバの選手とかは、ミットの位置でコースや球種を読む。つまり、誰かが打者に伝えているんです。ピッチャー側からすると、早く構えてもらった方が投げやすいのですが、それだと読まれてしまう恐れがある。本当に何が起きるのかわからないのが国際大会です。すべてに対応するのは厳しいかもしれませんが、これをやったら終わりというものではない。そこは根気強くやっていくしかありません」

 最後に、「4番・キャッチャー、阿部」でいくべきか、あらためて訊いてみた。

「キャプテンとキャッチャーに関しては、今さら外せないと思うんです。そうなると問題は、このまま4番を任せるのかということになりますが、何がなんでも阿部選手じゃなきゃいけないとは思いません。ただ、無理して外す必要もなし、逆にこだわる必要もない。何度も言いますが、国際大会は守備力です。そこを第一に考え、首脳陣の方には何がベストかを決断してほしいですね」

 3月2日のブラジル戦、果たしてスタメン発表で阿部慎之助は何番目にコールされるのだろうか。

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