【WBC】不安な先発投手陣を史上最強打線が援護する韓国の実力

  • 慎武宏●取材・構成 text by Shin Mukoeng
  • photo by Masuda Yuichi

2010年から2年間はNPBのロッテに在籍し、昨年は韓国リーグで首位打者を獲得した金泰均2010年から2年間はNPBのロッテに在籍し、昨年は韓国リーグで首位打者を獲得した金泰均韓国ナンバーワン野球解説者が語るWBC韓国代表の実力(前編)

 第1回大会ではベスト4、第2回大会では準優勝に輝いた韓国。国内プロ野球は昨年、年間観客動員数700万人を突破し、空前の野球人気の最中にあるだけに、今回のWBCにも大きな期待と関心が寄せられている。そんな韓国代表の実力について、同国ナンバーワン野球解説者として知られる宋在祐(ソン・ジェウ)氏を直撃。第1回大会では韓国代表のスカウティングチームに加わり、今大会では韓国国内でWBCを独占中継するテレビ局でパク・チャンホ(※)とともにメイン解説者を務める宋氏が、WBC韓国代表の実力を明らかにしてくれた。

(※)パク・チャンホ=大学時代にドジャースと契約し、韓国人初のメジャーリーガーとして活躍。メジャー16年間で124勝を挙げ、2011年にはオリックスに在籍。翌年、韓国プロ野球のハンファでプレイするも1年で現役引退を発表した。

―― 山本ジャパン同様に韓国も今大会はメジャーリーガーが不在。シンシナティ・レッズの秋信守(チュ・シンス/外野手)や今季からロサンゼルス・ドジャースに移籍した柳賢振(リュ・ヒョンジン/投手)が不参加。一部では"史上最弱"と言われているそうですか?

「メジャー組不在もさることがら、もっとも痛いのは投手陣の駒不足ですね。柳賢振に加え、金廣鉉(キム・グァンヒョン)、奉重根(ポン・ジュングン)まで負傷で欠いてしまったこと。彼ら3人とも左の先発投手で、韓国球界左腕3本柱と呼ばれる存在。韓国は第1回大会では具台成(ク・デソン)、第2回大会では彼ら3本柱と、伝統的に左ピッチャーの活躍がチーム躍進の原動力となってきただけに、左腕3本柱の不在は大きな不安要素ですね。ただ、だからといって今回のWBCで韓国が通用しないというわけではない。ポイントとなるのは、球数制限です。今回のWBCでは先発投手が投球可能な球数が前回大会に比べて、すべてのラウンドで5球ずつ減っています。このルール変更は韓国代表にプラスに働くと思います。強力な先発投手が不在でも、短く小刻みに継投すればいいわけですから。幸い、チームを率いる柳仲逸(リュ・ジュンイル)監督は、国内でもブルペン活用術に長けて継投のタイミングがうまいことでも知られています」

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