【WBC】吉井理人が語る「短期決戦を制する投手起用法」

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 小内慎司●写真 photo by kouchi Shinji

―― それでは先発についてお聞きします。前回大会は松坂大輔投手、岩隈久志投手、ダルビッシュ投手と先発三本柱が揃っていました。しかし今回は、前田投手に右肩の不安があり、田中投手、内海投手も2月17日の強化試合で結果を出せなかった。吉井さんが考える先発三本柱となると誰になりますか。

「前田は今の状態のままだと厳しいでしょう。無理をさせない方がいいです。内海、田中に関しては、徐々にペースを上げてくるでしょうし、本戦までにはきっちり仕上げてくると思います。そうなると、内海、田中、あとひとりは能見か、もしくは涌井ですね。このふたりに関しては、対戦相手によって決めてもいいと思います。杉内は先発でも十分やってくれると思いますが、前回のWBCでもリリーフとして抜群の結果を残した。あのポジションは誰にでも務まるわけではないですし、今回も杉内に任せたいところですね」

―― 今回の合宿では、前田投手や浅尾投手をはじめ、調整不足の投手が多くいました。何が原因だと思いますか。

「日本は開幕戦にピークを持ってくる投手が多い。でもメジャーは、3月から始まるオープン戦に合わせて体を作ってくるので、12月の終わり頃からブルペンに入る投手が結構います。それに日本では「肩を休める=投げない」と認識している選手が多いみたいですが、実はそうじゃない。ゆっくりでも投げている方が、肩へのダメージも少なくなり、仕上がりも早くなる。そうすれば、キャンプに入って、わざわざ200球も300球も投げなくてもよくなります」

―― 投手陣のキーマンをひとり挙げてください。

「実際、今の選手の状態がわからないので詳しいことはいえませんが、メンバーを見たとき、内海がエースになるべきだと思いました。というのも、球数制限があるとはいえ、こういう短期決戦では回復力が重要になると思うんです。昨年、日本シリーズで巨人と対戦した時、内海の回復力と馬力には正直驚きました。一見、ピッチングはすごさを感じることはないのですが、安定して結果を残せる。状況によっては、先発、リリーフとスクランブル登板の可能性もあるかもしれません」

―― 最後に、3連覇に向けてジャパン投手陣に最も大事なことは何ですか?

「コンディションだと思います。日本の投手は世界的に見て、本当にレベルが高い。普段通りのピッチングができれば、どの国が相手であっても十分に抑えることができる。無理に実力以上のものを出そうとしなくてもいい。いつも通り投げることだけを考えて、マウンドに上がってほしいですね。あとは首脳陣が、選手たちを気持ちよくマウンドに送り出してあげられるか。ゲームプランを考え、しっかり準備できれば、きっと彼らは期待に応えてくれますよ」

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