【WBC】吉井理人が語る「短期決戦を制する投手起用法」

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 小内慎司●写真 photo by kouchi Shinji

―― 今回、メジャー組が不在となり、滑る球への対応策を教える人がいないということも影響していると思いますか。

「今は情報もいっぱい入ってくるし、それぞれ対策は練っていると思います。ただ、心配なのはアメリカに行ったときです。空気が乾燥しているので、思った以上に滑ります。その時はダルビッシュに聞くしかないですね(笑)」

―― 吉井さんはメジャーで5年間プレイし、アメリカをはじめ、中南米の選手と数多く対戦されました。彼らを抑えるのに有効な球、球種はありますか?

「第一条件はコントロールです。狙ったところにきっちり投げることができれば、そう打たれることはありません。球種でいえば、チェンジアップ、フォークの落ちる系の球は有効ですね。逆に怖いのがスライダー。コースに決まればいいのですが、スライダーの投げミスが最も危険な球なんです。甘いスライダーは本当に打つのがうまい。だから、スライダーのコントロールに自信のない投手は、気をつけたほうがいいですね」

―― 国際大会ではキャッチャーのリードも重要になってきます。阿部(慎之助)選手のリードについてはどう思われますか。

「ここ数年の間にすごく成長したと思います。昨年の日本シリーズでも対戦しましたが、インコースの使い方がものすごくうまくなった印象を受けました。以前は、外中心の配球で、変化球も多かったのですが、インコースのストレートでグイグイきましたからね。これまでとは明らかに違ったリードでした。それがバッティングにも表れてきている。カウントによって打ち方を変えたり、読みの部分での成長がすごいです」

―― 阿部選手は主将、4番、キャッチャーとまさにチームの大黒柱ですが、少しでも負担を減らすため、DHで起用したり、4番を外したり、そうした配慮は必要になってくると思いますか。

「僕は4番、キャッチャーで行くべきだと思います。このチームは阿部のチームですし、そこで変に気を遣ったりすると、余計おかしなことになる。阿部が攻守の要になっていることでチームは落ち着くわけですから、ここは動かさない方がいいです」

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