【WBC】吉井理人が語る「短期決戦を制する投手起用法」

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 小内慎司●写真 photo by kouchi Shinji

―― 涌井投手や牧田投手などは、抑えの経験もあります。

「涌井は完全な先発タイプです。彼は投げながら調子を上げていくタイプですので、1イニング限定の抑えには向かない。昨年は抑えで頑張っていましたが、いつも以上に力が入っている印象がありました。結構、ランナーを背負う場面も多かったんじゃないかな。牧田は先発も抑えもできるタイプだと思うのですが、ウイニングショットがない。打たせて取るタイプですので、一発勝負の大会だとどうですかね......」

―― 三振を取れるということでは、田中投手とかはいかがですか?

「マー君(田中)が普段どんな調整をしているのかがわからないので、何とも言えないですが、僕がもし楽天のコーチだったら『やめてくれ』という感じですね。やっぱりフォームを崩す心配があるのと、昨年、マー君はシーズン途中でケガをしたじゃないですか。どこかまだ万全じゃないような気がしています。慣れないポジションをやらせるより、いつも通りの場所で投げさすべきだと思います。確かに、彼の能力からすれば、もしかしたら抑えはまるかもしれないけれど、無理に抑えにする必要はないと思いますけどね」

―― となると、抑えは......?

「難しいですね。今村とかになるんですかね。ボールに力はあるし、存在としては面白いと思うのですが、コントロールや経験という部分で不安です。そうるなと攝津ですかね。彼のシンカーは独特の変化をしますので、短いイニングの方がいいかもしれない。コントロールもいいし、リリーフの経験もありますから、問題ないでしょう。あとはWBC球に対応しているか......ですね」

―― 宮崎合宿でもWBC球に苦戦している投手が多くいました。2011年から「国際大会により近い球を」ということで統一球が導入されましたが、WBCで使われる球と統一球は違うものですか?

「まったく違います。統一球の方はしっとり感があり、滑りにくい。それに大きさも、統一球の方が小さいと思います。先日、アメリカ帰りの五十嵐亮太と会ったのですが、彼も『日本のボールの方が小さく感じる』と言っていました。普段より大きいボールを使うと、握りも強くなり、投げていると腕が張ってきます。日本のボールに慣れている投手がWBC球を使うと、普段とは疲労度が違うと思いますよ」

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る