【WBC】岡田彰布が考える「侍ジャパン理想のオーダー」

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

 それでは、この中軸につなげていくチャンスメーカーは誰が適任だろうか。過去のWBCの戦いを見ても、相手投手に球数を多く投げさせるなど、山本監督が掲げる「つなぐ野球」のカギを握るのが2番だ。この重要なポジションに岡田氏が期待を込めるのが、かつての教え子でもある鳥谷だ。ただ、鳥谷を2番に据えると、糸井、阿部と左打者が続いてしまう。

「確かに、左打者が続くのは本来避けたいんやけど、鳥谷は左投手を苦にしないんよ。だから左が並んでも、特に問題ないんとちゃうかな。ランナーがいる場合、引っ張って進塁打を打つ器用さも持ち合わせているし、状況に応じたバッティングができるもの強み」

 また、1番に坂本、9番には長野の名前を挙げた。

「まあ、ここは固定せずに、坂本、長野、それに鳥谷を含めた1、2、9番の3人は、調子を見極めながら入れ替えていけばいい」

 そして岡田氏が打線のキーマンに挙げたのは、意外な人物だった。

「松田やね。昨年まで相手ベンチで見ていたわけやけど、予想がつかん(笑)。クソボールでもホームランにしたり、データが取れない。それに一発もあるし、勝負強さもある。松田のような意外性のあるバッターが国際大会では活躍するような気がするんよ。最初は8番ぐらいの下位を任されるやろうけど、大会が進むにつれてどんどん打順も上がっていくんとちゃうかな。いつの間にか5番を任されていた、なんてこともあるかもわからんで。まあ、こういうバッターが下位にいてくれた方がいいんやけど」

 過去の大会を振り返っても、第1回大会準決勝の韓国戦では2次ラウンドまで打率1割台だった福留孝介を王貞治監督はスタメンから外した。でも、その試合に代打で出場した福留は7回に起死回生の決勝2ランを放ち、決勝進出の立役者となった。また第2回大会では、原辰徳監督が3番に座っていたイチローの調子が上がらないと見るや1番に変更。それが功を奏し、大会2連覇という最高の結果を生んだ。最後に岡田氏は言う。

「大切なのは選手のコンディション。そこを的確に見極め、状況に応じて選手を入れ替えていく。それが短期決戦で最も大事なことやと思うよ。打線は固定できれば最高やけど、それに縛られるのもよくない。いい打線を考えるんじゃなくて、勝てる打線を考えなアカン。山本監督をはじめとした首脳陣の腕の見せどころやね」

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