【プロ野球】大谷翔平に「ポスト糸井」の可能性はあるのか? (2ページ目)

  • 佐々木亨●文 text by Sasaki Toru

「(外野は)難しいです」

 そう語った大谷だが、外野は花巻東高校時代から親しみのあるポジションだ。4番打者として公式戦デビューを果たした1年春の地区大会はライト。3年春から夏にかけてはセンター、高校ジャパンではレフトを守るなど、外野はすべてのポジションを経験している。キャンプでは中学以来となるショートの練習をこなしているが、「打者・大谷」として考えた時、レギュラーに最も近く、現実味があるポジションは経験値からいっても外野ではないだろうか。

 キャンプ直前の1月下旬、オリックスとの電撃トレードで不動のライトだった糸井嘉男がチームを去った。「ポスト糸井」の座を狙い、このキャンプでは、一軍での実績を着実に積んでいるプロ9年目の鵜久森淳志、糸井とのトレードでやって来たプロ15年目の赤田将吾、そして急成長中の3年目・谷口雄也らが熾烈な競争を繰り広げているが、今は二軍の大谷にもその可能性は十分にある。

 以前、栗山英樹監督はこんなことを言っていた。

「みんなが注目する選手は、野球界のためにもワンランク上のステージに上げないといけない。そうした舞台を用意するのも、僕の使命だと思っています」

 その言葉通り、昨シーズン、2年目の斎藤佑樹が開幕投手に指名され、中田翔も全試合4番打者として出場した。果たして、大谷にとってのワンランク上のステージとは何なのか。キャンプで大谷を見た栗山監督は称賛する。

「高校時代にケガをしていたこともあって、プロに入ってからは体作りからしっかりやらないといけないと思ったけど、キャンプで見た限り、その心配はなさそう。十分にやれるだけの体になっている。それにバッティングを見たけど、やっぱりモノが違うと感じた」
 
 ただ、あくまでも目指すは二刀流だ。高校時代の恩師である花巻東高校の佐々木洋監督は、二刀流についてこう話す。

「個人的に言わせてもらえるなら、大谷のプレイを数多く見られるので二刀流が本物になってくれれば嬉しい気持ちはあります。ただ、一番怖いのは二刀流をやって両方中途半端になることです。大谷本人は、あくまでもピッチャー志望です。二刀流に挑戦する中で、打者として結果が出るのがおそらく早いと思います。そこでピッチャーを見切られて野手一本になるのが怖いですね」

 大谷自身も「投手としてのこだわりがある」といい、「投手・大谷」は簡単に諦められるものではない。とはいえ、投手と野手の両方で超一流を目指す大谷だからこそ、まずは「ポスト糸井」争いを制し、ワンランク上のステージへと進んでほしいものだ。

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