【プロ野球】大谷翔平に「ポスト糸井」の可能性はあるのか?

  • 佐々木亨●文 text by Sasaki Toru

二刀流に挑戦中の大谷翔平二刀流に挑戦中の大谷翔平 距離にして約100メートル。ハーフパンツ姿の大谷翔平は、終始リラックスした表情で遠投を楽しんでいた。2月14日、この日はキャンプ3度目となる休日だった。それでも大谷は、「有酸素運動はしておいた方がいいので、体だけ動かそうと思って。トレーナーにも休まない方がいいと言われましたし」と、グラウンドで汗を流していた。

 投手と野手の二刀流に挑んだ春季キャンプの練習も、段階を踏んで徐々に慣れてきた。初日こそグラウンドの移動を含め戸惑いが感じられたが、その後はそれぞれの"場所"で大物ルーキーの片鱗(へんりん)を見せ始めるなど、順調にメニューをこなしている。

 2月2日にはフリー打撃で7本のサク越えを放てば、翌3日にキャンプ初のブルペン入りを果たし、2度目のブルペン入りとなった6日にはノーワインドアップから変化球を交えて50球を投げ込むなど、二刀流挑戦は日を追うごとに本格化してきた。

大谷が取り組む現在の練習について、黒木知宏一軍投手コーチはこう語る。

「練習メニューは全体的なボリュームをしっかりと把握した状態で調整をしています。だから、野手をやっているからピッチャーはダメ、またはピッチャーをやっているから野手はダメと、どっちつかずということはありません」

 もちろん投手と野手、それぞれの一日に相当する練習量を一度にこなすことは不可能だ。黒木コーチが続ける。

「当然、それでは体がもたない。全体的な練習のボリュームを考えながら、負担がかからないようにそれぞれ強化するメニューを組んでいます。そして何より、大谷にとって何がベストなのかを探りながらやっています」

 ベストとは――2月9日には初めて外野の守備練習をした。紺田敏正二軍外野守備・走塁コーチのもと、外野手の基本的な動きを学んだ。さらに11日には居残り練習で外野の特守を行ない、約1時間、打球の追い方や捕球姿勢を練習した。

1 / 2

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る