【プロ野球】赤ヘル打線復活のカギを握るのは、あのドラフト1位選手 (2ページ目)

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

 そして小早川氏は、「いつも若手には期待しているのですが、今年はひとりいます」と、自信ありげに語った。

「5年目の岩本貴裕です。今年大きく伸びて欲しい選手ですし、それだけの素材でもあります」

 岩本は入団2年目の2010年、61試合の出場ながら14本塁打を放った。少ない打席でこれだけの本塁打を放ったことで、「久しぶりの大砲誕生」と注目を集めた。しかしその後のシーズンは、3本塁打(2011年)、6本塁打(2012年)と期待に応えることはできず、試合数も100試合に遠く及ばず伸び悩んでいる。

 統一球への対応や、ひざを手術した影響もあっただろうが、岩本の実力からすればこの数字は物足りない。特にカープ打線は、栗原、エルドレッド、堂林と本塁打を打てる右打者は揃っているが、左打者は俊足巧打の打者が多く、長打力のある岩本に期待するところは大きい。

「岩本が昨年の堂林のような活躍をしてくれれば、戦力面でも大きさはもちろんですが、ファンの盛り上がりにも影響してくると思います」

 岩本は地元の名門・広島商業出身。地元意識が強いカープファンにとって、広商出身の岩本が活躍してくれれば応援にも一段と力が入り、スタンドも盛り上がるというのが小早川氏の見立てだ。チームの期待を示すように、今シーズンから打撃コーチに就任した新井宏昌コーチも、岩本に自らボールのさばき方を実演するなど、懸命の後押しをしていた。イチローを育てた経歴を持つ新井コーチは語る。

「大きいのを打てる左打者がひとりいれば、打線は劇的に変化します。そういった意味でも岩本を何とか一本立ちさせたい」

 栗原が完全に復活して4番に座り、岩本が6番あたりに座れば、堂林などとジグザグの打線も組むことができ、攻撃のオプションが広がる。

 前田健太を筆頭に、野村祐輔、今村猛、福井優也など、ドラフト1位で入団した投手がしっかりと戦力になって、投手陣はリーグ屈指の実力を誇るカープ。今季、打線の構築に成功すれば、はじめてのCS進出も大きく近づく。それだけに2008年ドラフト1位の岩本にかかる期待は大きい。

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