【プロ野球】「人工知能搭載」のピッチングマシンが野球を変える!? (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

 人工知能とは人間の脳神経回路網を模倣して開発され、人間と同じように学習機能を備える。このマシン製作にあたり、ローラーの回転数などを変えた投球を約3万回重ね、100通りを超すデータを割り出し、人工知能に記憶させた。西野製作所の大西康之氏は言う。

「これまでのマシンは球速、球種、コースを設定する際、細かな調整が必要でしたが、『Pitch18』は、事前に100通り以上の球筋を人工知能に記憶させておくことで、パネル操作ひとつで瞬時に希望の球を投げることが可能になりました」

 しかも、パターン化され設定された曲がりやコース以外に、「もっと曲がりの大きいスライダー」「もっと高めから落ちてくるカーブ」といった細かな要望にも簡単なボタン操作で即対応できる。こうした素早い対応も、学習機能を持つ人工知能搭載マシンの大きな特性だ。

 さらに驚きの機能がある。

「例えば、ある投手が130球を投げて完投したとします。その1球1球の球種や球速、コースを打ちこんで記憶させれば、一度の操作で130球を忠実に再現することも可能です」(大西氏)

 ピッチングマシンの普及によりプロ・アマとも打撃レベルは大きくアップした。だがその一方で、マシンでは再現できない決め球を持つ投手の活躍も見逃せない。「消える」と言われた高速スライダーで活躍した駒大苫小牧高校時代の田中将大(現・楽天)や、ブレーキの鋭いスライダーと落差の大きいカーブで昨夏の甲子園で4試合68個の三振を奪った桐光学園の松井裕樹たちがそうだ。ピッチングマシンに関して、こんなエピソードがある。

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