【プロ野球】先発か、抑えか。巨人・澤村拓一の適性はどっちだ?

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 荒川祐史●写真 photo by Arakawa Yuji

昨年のCS、日本シリーズでは先発として好投し、日本一に貢献した澤村拓一昨年のCS、日本シリーズでは先発として好投し、日本一に貢献した澤村拓一 先発か、それとも抑えか? キャンプインを目前に控え、巨人・澤村拓一の起用法に注目が集まっている。事の発端は昨年の12月、優勝旅行先のハワイでの原辰徳監督のこのひと言だった。

「澤村の働きどころとして、もっとふさわしいところがあるかもしれない。抑えの可能性もあるんじゃないかな」

 これを伝え聞いた澤村は、「先発一本でやらせてもらうつもりでやっています。オフに入ってからも先発として調整していますし、キャンプでは成長したところを見せたい」と語り、こう続けた。

「プロに入って3年間が勝負だと思ってやってきた。今年はその3年目だし、成果を見せる時だと思っています。自分が勝ち頭になるんだという覚悟でやっている。手応えも感じています」

 あくまでも先発にこだわりを見せる澤村だが、原監督は抑え転向プランの理由を次のように述べている。

「日本一になったけれども、チームを強くするためには、ひとりひとりの力をどう使っていくのがベストなのか考えていかないといけない。適材適所でチームを作るのは重要なこと。(澤村は)2ケタ勝利はしているけど、この2年間、貯金はしていない。そういう現実はある」

 澤村は1年目の2011年に11勝(11敗)を挙げ新人王を獲得。昨年も10勝(10敗)をマークし、ルーキーイヤーから2年連続で2ケタを達成した。しかし、貯金はなし。エースの内海哲也が2年間で33勝11敗と22個もの貯金を作っていることを考えれば、1年間ローテーションを守っているとはいえ、澤村の先発としての結果に物足りなさを感じているのも頷(うなず)ける。それに加え、「巨人投手陣の現状もある」と語るのは、巨人OBで評論家の槙原寛己氏だ。

「昨年日本一を達成した巨人ですが、最後までクローザーを確立できなかった。西村(健太朗)や山口(鉄也)、マシソンらが頑張って何とか凌ぎましたが、より強力なリリーフ陣を形成するためにも絶対的クローザーの確立は避けて通れない。そこで年齢も若く、ボールに力のある澤村なら......と考えたのではないでしょうか。それに先発陣は、内海をはじめ、杉内(俊哉)、ホールトン、宮國(椋丞)がいて、小山(雄輝)、江柄子(裕樹)といった若手も成長している。そこに注目のルーキー・菅野(智之)も加われば、先発は余剰戦力になる。そうしたことも原監督の中にあったのだと思います」

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