【プロ野球】英智×小田幸平が語る「ドラゴンズが強いワケ」 (6ページ目)

  • 石田雄太●構成 text by Ishida Yuta
  • 日刊スポーツ●写真 photo by Nikkan sports

小田 コーチって難しいと思うこともあるやろう。

英智 選手を教えるようになって、自分が感じたことを伝えられる立場になったので頑張ろうと思ってるけど、こればっかりは経験しないとわからないってことを伝えるのは難しいよ。現役の時、一球前までは思いもしなかったのに、ふっとよぎる瞬間ってあったでしょ。『うっ、こっちじゃない』って。それで2mから3m、感じた方に寄ったりする。

小田 それは積み重ねがあるから感じるんちゃう?

英智 そうなんだよね。もうひとりの自分がいたら、もっと極端に寄りたい時があるんだけど、それはセオリー通りではなくなる。もし逆をつかれたら、『アイツ、何やってんだ』ってなるから、教えなくちゃいけないのはセオリーなんだけど、でも、直感も伝えてあげたい。プロとして派手に飛んで捕ったりするものいいんですけど、『えっ、そこにいたの』とか、ランナーがバックホームする時に三塁コーチが腕を回せないような選手がいい選手だと教わってきたから。

小田 いいコーチやねぇ(笑)

英智 そういえば一昨年、優勝旅行に行ったとき、1等賞は旅行券20万円分ですって、あったよね。あの時、幸平と同じテーブルで、幸平、『こういうところで当たるヤツは、来年クビになるぞ』とか言ってた。

小田 言った、言った(笑)。

英智 それで『絶対に当たったらアカン、当たったらアカン』って言ってたら、『1等賞は……英智さん~っ』『うわーっ』って(笑)。その時に悟ってしまったんです。そんな、ビンゴとか懸賞とか、今まで一切当たったことなかったのに。

小田 その時、ホンマに言ってた。『これ、やべぇぞ』『英智、アウト~っ』って(笑)。

英智 だから、ちょこっと辛いことがあった時の方がいいよね。

小田 財布落とした時とか、よっしゃ、これは野球でいいことあるぞ、みたいな(笑)。

英智 そうしたら財布は拾っといてあげるよ、お礼は一割でいいからね。

小田 そんなにたくさん入ってへんよ。契約更改、現状維持やから(笑)。

(おわり)

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