【プロ野球】阪神・藤浪晋太郎「阪神を変える投手になりたい」 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 日刊スポーツ●写真 photo by Nikkan sports

 それだけの注目を集めるのは、期待の表れでもある。あらためてプロ1年目の意気込みを聞くと、次のような答えが返ってきた。

「どうしても開幕一軍というのはありません。もちろんそこ(開幕一軍)は目指しますし、結果としてそうなれば嬉しいですけど、絶対にそこにいなきゃいけないという気持ちはないです。今の自分のレベルでは通用しないと思っていますから」

 具体的に、今の自分に足りないと感じている部分はどこなのか。

「微妙なコントロールとか、変化球のキレとか。それにボールの出し入れ、駆け引き、投球術......足りないところばっかりです。コントロールも、高校生ならミスショットしてくれた球が、プロではそうはいかないと思います。もっと精度を上げていかないとダメでしょうね」

 ただ、統一球の導入により、現在のプロ野球は投高打低時代に突入した。ある球団のスコアラーは次のように語った。

「統一球が導入されてから、失投してもそれが致命傷になることが極端に減りました。一定のコントロールと、力のあるボールを備えた投手は、ものすごく可能性が広がったと思います」

 その話を藤浪にもすると、楽天の釜田佳直の話題になった。2012年シーズン、高卒1年目ながら7勝を挙げた釜田の活躍は、当然、藤浪も知っていた。

「ニュースでしかピッチングは見ていないんですけど、真っすぐの質が高校の時とは明らかに違うと思いました。2011年の夏、甲子園で歳内(宏明/現・阪神)さんと投げ合った試合をテレビで見たことがあったのですが、その時とはキレが全然違う。1年目からすごいなと思いましたし、だからこそすぐに活躍できたんだと思いました」

 その釜田について、多くの関係者が称賛したのは「吸収力の高さ」だった。だが藤浪もその部分に関しては負けていない。以前、大阪桐蔭の西谷浩一監督が藤浪について、「2005年に夏の甲子園ベスト4の辻内(崇伸/巨人)のキャパと2007年夏の甲子園優勝投手の福島(由登/青山学院大→HONDA)の頭を持ったタイプ」と説明したことがあった。つまり、150キロを投げる実力を擁しながらも、力に頼ることなく、考えてピッチングをする投手という意味だ。現時点で、「プロでも十分にやっていけると感じている部分は?」と尋ねると、自らの内面を挙げた。

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