【プロ野球】阪神は藤浪晋太郎をどう育てるのか?「藤浪会議」の中味と今後 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 日刊スポーツ●写真 photo by Nikkansports

 藤浪をどのようにして育てるかという話し合いが行なわれ、そこでキャンプの一軍参加、調整法は本人に任せることのふたつが確認された。会合の後、中村GMは「(無理をさせないように)ブレーキをかけるという意見も出ましたが、スカウトから『大丈夫です』と言われました。彼には彼のペースがあり、投げている方が落ち着くタイプらしい」と語った。これまで阪神に入団した高卒ルーキーと比べて、実力、話題性とも群を抜いている。それだけに扱いを間違ってはいけないと、首脳陣も球団関係者も慎重になっている様子が伝わってくる。

 じつはこの会合の前、阪神は「藤浪をいかに育てるか」という部分で、西谷監督に意見を求めている。そこで西谷監督からふたつの意見が出た。ひとつは、「プロの世界でやっていけるかどうかは別にして、とにかく実戦で多く投げさせた方がいい」ということ。その件について西谷監督は次のように説明する。

「とにかく藤浪は投げることで調子を上げていくタイプ。逆に言えば、まだまだ自分の感覚を持っていないということ。そのため間隔はあまり空けない方がいい。また、ブルペンで多くを投げるのではなく、実際にバッターと対戦させた方がいい。実戦の中でこそ掴める感覚もありますし、通用するボール、通用しないボールというのもわかってくる。とにかくプロのバッターとの対戦を重ねていけば、その経験を投球に生かしていくと思います」

 やはりピッチャーはバッターと対戦してこそ。2007年に駒大苫小牧高校から大きな注目を集めて楽天入りした田中将大について、当時ピッチングコーチだった紀藤真琴はキャンプ序盤に次のようなことを言っていた。

「田中は練習よりもバッターと対戦してこそ力が出るタイプ。ピッチャーにとってこれがいちばん大事なことで、真剣勝負を繰り返すことで成長していくんです。だから、これから紅白戦でもファームでもいいから、真剣勝負の場をどんどん与えていきたい」

 その言葉通り、キャンプ、オープン戦で実戦経験を積んだ田中は、1年目から28試合に登板し、11勝(7敗)を挙げる活躍を見せた。

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