【プロ野球】「もう一度、野球がしたい」――男たちのトライアウト2012 (3ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • 日刊スポーツ●写真 photo by Nikkan sports

 そして控えの内野手ながらスーパーサブ的な存在で長年ロッテを支え、2005年の日本一、アジアシリーズ制覇に貢献した渡辺正人(1997年/ロッテドラフト1位)も、Kスタにやって来た。守備力で生き残りを図る渡辺のような選手は、シート打撃形式のトライアウトではアピールも難しいだろう。

「自分は守備ありき。ロッテで15年やらせてもらったのも、それがあったからだと思う。トライアウトで100%の守備を見せられたら、魅力的な選手に映るかもしれない。できる限りのことはしようと思って臨みましたし、アピールはできたと思います。打つ方で1本でもヒットが打てていたらよかったですけどね……」

 ラストチャンスにかける選手たちには、厳しい現実がある。トライアウトの結果によって再契約するというのは、実際は極めてまれなケースであり、トライアウト前にその意向を伝えられているのがほとんどである。トライアウトの実情は、選手の実力を試すよりも、獲得意思のある球団の編成担当者がその選手の現状を確認、把握する側面が強く、事前に話のなかった選手たちにとっては、まさに藁(わら)をもつかむような挑戦なのである。

 11月21日には2度目の12球団合同トライアウトが行なわれる。だが、さらに門戸は狭くなるため、多くの選手が1回限りと決めて今回の舞台に挑んでいた。彼らのラストチャレンジは、各球団の編成担当者の目にどう映ったのだろうか。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る