【プロ野球】日本ハムの強さの秘密。常勝の礎を築いた「7パーセント」のこだわり (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 青山浩次●写真 photo by Aoyama Koji

 田中が離脱してからリーグ優勝を決めるまでのファイターズは、17勝7敗3分。糸井が戻ってから2番に入ったものの、田中の代わりにセカンドを守り続けた西川は、ファイターズのラストスパートに大いに貢献したと言える。

 この『田中の代役に西川』という起用には、ファイターズの弾き出したある数字が根拠として横たわっていた。

 7パーセント──。

 この数字は、ファイターズが独自に調べた“レギュラー以外の選手がゲームに出る割合”なのだという。ファイターズではこの7パーセントという数字をもとにチームを編成してきた。要するに、控えの選手が試合に出る割合は7パーセントなのに、その部分に多額の投資をしてもコストパフォーマンスに見合わないという発想で補強を考えてきたということだ。

 予算内で、効果的な編成をするために、ファイターズは2004年、GM補佐としてフロント入りをした吉村浩(現在は統括本部長)を中心に、BOS(ベースボール・オペレーション・システム)というシステムを構築し、一人一人の選手を誰もが把握できるよう、数値化することを試みた。チームの選手、他球団の選手、アマチュアの選手をすべて数値化することで、効果的な比較ができる。山田GMがこう話す。

「今、ウチにいる選手と、これからドラフトにかけようという選手を同じ指標で比較できます。だから、ドラフトで獲りたい選手がファームの試合に出られるレベルにあるかどうかをチェックできるんです。ウチが育成枠を使っていないのは、育成というシステムが未知数だということもありますが、それよりも彼らのレベルではプロの試合に出られないからなんです。たくさん選手を獲っても、それだけのお金がかかりますし、人数が多すぎて試合に出られないということになったら本末転倒でしょう。ウチは獲った後、一定のレベルに達したら、ファームのレギュラーとして1年間、使うという方針ですから、今のファームの試合数から考えると、育成枠の選手までは使いきれない。打てる、打てないに関係なく、1年間、ファームのレギュラーとして試合に出る力のある選手だけを獲るんです」

 プロ2年目の西川だけではない。

 西川が田中に代わって3番セカンドに入ったライオンズ戦、ファイターズのスターティングラインアップを見ると、2番に21歳の杉谷拳士、3番が20歳の西川、4番は23歳の中田翔、9番に21歳の中島卓也と、20代前半の選手が4人も並んでいた。トップに入った陽岱鋼もキャッチャーの大野奨太もまだ25歳なのに、このメンバーの中に入ると、まるで経験豊富な中堅プレイヤーの域に達しているかのように見えてくる。それほど、今のファイターズには若いメンバーが揃う。

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