【プロ野球】谷繁の誤算。巨人の日本シリーズ進出を決めた伏兵たちの実力 (3ページ目)

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 荒川祐史●写真 photo by Arakawa Yuji

 谷繁にしてみれば、中軸を抑えるのはある程度計算通りだったかもしれないが、ここまで下位が打つとは想定外だったに違いない。逆にジャイアンツにしてみれば、この厚みがあるからこそ、中軸でも平然とつなぎに徹することができる。第6戦で3安打をマークし、5回には貴重な追加点となる一発を放った村田は言う。

「先頭打者で本塁打を狙っていいような場面だったが、あそこは何でもいいから塁に出ようと考えて入った。結果的にホームランになったけど、狙っていたわけじゃない」

 一方のドラゴンズは、トニー・ブランコ、和田一浩の中軸ふたりに本塁打こそ出たが、シリーズの流れをつかむような活躍はできなかった。「自分で決めてやろう」との思いが強すぎるあまりに大振りが目立ち、その気負いが、18打数8安打、打率.444の6番・森野将彦の好調を生かすことができなかった。

 原辰徳監督が「ウチに捨て駒はない」と言っていたが、その言葉通り、今回のシリーズで崖っぷちのジャイアンツを救ったのは、阿部でも坂本でもなく、石井や古城、寺内といった伏兵たちだった。この選手層の厚さが、土俵際からの大逆転劇を生んだのだ。

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