【プロ野球】チームの命運を握る「4番・中田翔」の気になるデータ

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 ただ、中田にとって不安があるとすれば、ソフトバンク投手陣との相性だ。今シーズン、主なソフトバンク投手陣との対戦成績は以下の通り。

攝津正  8打数4安打(打率.500)
武田翔太 12打数2安打(打率.167)
山田大樹 17打数3安打(打率.176)
大隣憲司 13打数1安打(打率.077)
森福允彦 7打数1安打(打率.143)

 ソフトバンクのエース・攝津には好成績をおさめているが、他の投手には完全に押さえ込まれている。通算でも89打数16安打(打率.180)と、対戦したパ・リーグ5球団の中では最も低打率で、本塁打も最少の3本。果たして、この苦手投手陣からチームに勢いを与える一打を放つことができるのか。

 そしてもうひとつ、中田にとって気になるのがまだポストシーズンで無安打ということだ。代打で出場した2009年のCSと日本シリーズ、昨年の西武とのCSと合わせ、現在11打数ノーヒット中。今年とは立場も状況も違うため、本人もどこまで気にしているのかわからないが、早く1本を出しておきたいことは間違いない。

 元々、中田は大阪桐蔭高時代から一旦調子を落とすと復調に時間のかかるタイプだった。だから、シーズン後半の好感触を失わないため、シーズンが終わるとすぐに宮崎フェニックスリーグに参加した。そこでも「調整とかぬるいものではなく、しっかりと試合の中で感覚をつかめた」と気持ちを緩ますことなくバットを振ってきた。

「チャンスはすべて打つ気持ちでいきたい」

 若き4番のバットはチームを日本シリーズへと導くのか。中田にとっての本当の戦いが、まもなく始まろうとしている。

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