【プロ野球】チームの命運を握る「4番・中田翔」の気になるデータ (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 短期決戦における4番の重要性を考えると、当然、相手ピッチャーにはシーズン以上に厳しい攻めが求められる。あるテレビのインタビューで野村克也氏が、セ・リーグCSの行方を占いながらこんな話をしていた。

「ポイントは谷繁元信(中日)です。彼は阿部慎之助(巨人)の抑え方を知っているはずです。言葉は悪いが、いかに阿部を殺すか。ここが大きなポイントになるでしょう」

 過去のポストシーズンを振り返っても、4番の結果によって明暗が分かれた試合はいくつもある。例えば、2000年の巨人とダイエー(現・ソフトバンク)の日本シリーズ。この戦いでダイエー4番の松中信彦は19打数1安打(打率.053)と完全に封じられた。対照的に巨人の4番・松井秀喜は21打数8安打(打率.381)、3本塁打、8打点の活躍でMVPを獲得。チームも4勝2敗でダイエーを下し、6年ぶりの日本一に輝いた。

 また2005年、阪神とロッテの日本シリーズでは阪神の4番・金本知憲が相手バッテリーの内外角の揺さぶりに苦しみ13打数1安打(打率.077)。4番の不振を象徴するように阪神打線も4試合で4点しか奪えず、結局1勝もすることができなかった。

 さらに少し遡(さかのぼ)るが、1988年の中日と西武の日本シリーズ。中日の4番・落合博満が16打数5安打(打率.313)を放ちながらも、長打は二塁打の1本のみで打点はなし。一方、西武の4番・清原和博は16打数6安打(打率.375)、3本塁打と勝負強さを発揮し、西武が4勝1敗で勝利。試合後に落合は「4番の差で敗れた」の言葉を残した。

 そこで中田だ。今年の日本ハム打線は、まさに「線」となって機能した。中田以外にも注意すべきバッターは多いが、それでも中田が打つとチームも乗る。実際、中田が本塁打を打った試合は16勝6敗と高い勝率(.727)を誇っており、ソフトバンクにしてみれば中田は絶対に打たせてはいけない打者なのだ。

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