【プロ野球】オリックスのリリーフ陣を支える「ミスター・コンスタント」平野佳寿 (2ページ目)

  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

「ホームばかり見て投げていると、左肩がだんだんと開いてくるんです。セットに入った時、後ろをチラッと見て、自分の右肩がセカンドベースにきっちり向いているか確かめます。後ろを向いて、前を向いて、また後ろを向いて。両肩の線が正しい方向に向いているかどうか。右肩がしっかり向けていなかったら、左肩もブレますからね」

 試合の中で修正できる能力。当時から平野はいくつもの引き出しを持っていた。これがあるから、大きな破綻がない。

 そしてバランスボール。そういう物があるのを、その時に初めて知った。

「あれに乗っていると、やっぱりバランスは内転筋なんやと実感します。内転筋を鍛えて、バランスをよくせなアカンって、バランスボールに教えられました」

 穏やかな笑顔。それが、ユニフォームに着替え、ブルペンに入ったら、「人格」も「目」も変わった。こっちが腰を下ろして20球を超えたあたりだったか。目も、腕の振りも、ボールの強さも一気に変わった。平野佳寿の「スイッチ」が入った瞬間だった。

 低い、速い、強い。とにかく怖い。指先感覚がすごい。ボールが抜けない。構えたミットより低くくる。細身の体なのに、なんでこんなに重いボールを投げられるのか。鉛でできたトレーニングボールを受けているような感覚だった。

「平野がウチに入ってきた時、4年生に光原(=逸裕、現・ロッテ)がエースでいたんです。彼が毎日すごい練習をやっていたんですよ」

 京都産業大の勝村法彦監督が教えてくださった。

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