【プロ野球】陰のMVP候補、巨人・西村健太朗のハンパない頑固ぶり (2ページ目)

  • photo by Nikkan sports

 そしてピッチングも、頑固さそのものの投げっぷりだった。
 
 春先の氷雨降る、寒い日だった。室内のブルペンで投げてくれたフランケン。

「本気で投げていいんですか?」
「ええっ、なんで?」
「目のまわり、すごいですよ、アザが」

 前日、東洋大姫路のベトナム人左腕・グエン・トラン・フォク・アン投手の球を受けていた。キャッチボールでちょっと気を抜いたら、微妙に動いたボールが、ミットに当たってから右まぶたの上にガンと来て、いわゆる「青タン」になって残っていたのだ。

「全然平気だよ、見えるから」

 こっちは苦く笑って応えたのに、つき合って笑ってくれはしなかった。それどころか、「いいんですね......」、そんな鋭い目つきに一変した。不穏な空気の中で、ピッチングが始まった。

 184センチ、体重も当時ですでに90キロ近く。見るからに、力任せの剛球を投げてきそうなフランケン。

 なのに、始まってみたら、実に丁寧に投げ込んでくる。そりゃあ、スピードだって140キロ前半ぐらいは楽に出ていただろう。それに加えて、「外角低目お願いします」、「内角低目お願いします」。いちいち「低目」のリクエストを出してきたのは、高校生ではフランケンただひとり。

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