【プロ野球】松井秀喜を獲りにいく日本の球団はあるのか?

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • photo by AP/AFLO

5月末にメジャーに昇格した松井だったが、34試合に出場し、打率.147、本塁打2、打点7と結果を残せず、レイズを戦力外となった5月末にメジャーに昇格した松井だったが、34試合に出場し、打率.147、本塁打2、打点7と結果を残せず、レイズを戦力外となった レイズから戦力外通告を受けた松井秀喜は、自由契約となった。レイズのマイナーでプレイしても昇格の可能性はないので、他の球団でのマイナー契約からメジャー昇格を目指すことになる。現地で松井を取材しているある記者は言う。

「しかし、残りのシーズンで松井と契約する球団はないでしょう。松井もそれは自覚しているはずです」

 今シーズンは、松井と同じように開幕時の所属が決まらず、シーズン途中で拾われた形のベテランが多かった。しかし、ジョニー・デイモン、ウラディミール・ゲレーロなどそうそうたる実績の持ち主も、松井と同じようにシーズン途中で戦力外になっている。ポストシーズンが近づく中で、不調の松井に手を挙げるところはなさそうだ。

「松井としては自由契約になって他の球団とマイナー契約できればそれでよし。できなければ、シーズン前と同じように浪人して、来春のキャンプに招待選手として参加する。そこでメジャー契約を勝ち取るというのがファーストチョイスでしょう」(現地記者)

 だが、招待選手として呼ばれるところまではいっても、メジャー契約をしてもらえるかどうかはかなり微妙だ。

「メジャーが無理なら日本球界への復帰も視野に入ってくるでしょう」

 引退よりも日本復帰の可能性が高いのでは、というのが現地の見方のようだ。

 では、日本球界では、松井獲得に手をあげる球団はあるのだろうか。パ・リーグのある球団の編成担当者はいう。

「正直、今の松井の状況を見て、どうしても欲しいという球団は少ないのではないでしょうか。松井に期待するのはどの球団も長打です。獲得するとなれば、最低でも20本塁打は打って欲しい。だが、現状を見る限り20本は厳しいと思います。日本の投手のレベルも上がっているし、統一球の影響もある。それにパ・リーグは広い球場が多い。DHがあるので打撃に専念できる利点はあるが、そう簡単に好結果が出るとは考えにくい」

 もちろん、実績や人気で申し分のない松井に興味を示す球団はある。セ・リーグの編成担当者のひとりはいう。

「実績や人気、人柄などを考えて、将来の監督候補にと考えるチームがあれば、ぜひとも欲しい存在でしょう」

 戦力だけでなく、チームの根本的な立て直しを託す人材として松井に興味を持っているところもあるのではというのだ。

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