【プロ野球】若手台頭でカープ15年ぶりAクラスが見えてきた (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Nikkan sports

 課題だった長打力も、ここまで85試合で49本塁打(リーグ3位)。昨シーズンの本塁打数が52本だったことを考えると、着実に長打力も上がっているのがわかる。この大きな原動力となっているのが、現在リーグ7位の10本塁打を放っている堂林だ。山崎氏は言う。

「堂林は本当によくやっています。でも、チームとしてみれば堂林ばかりスポットを浴びているようじゃダメ。戦術においては、前半戦は野村監督も機動力をもっと使いたいと思っていたのですが、走れる選手が梵ぐらいしかいなかった。でも今は、天谷が1番打者として頑張っている。これはカープにとって喜ばしいことです」

 7月25日から始まった後半戦。ここからは巨人、中日の上位2チームに少しでも近づいていきたいところだが、中日との対戦成績はここまで4勝8敗。巨人にも前半戦6勝6敗だったとはいえ、6月末以降の2カードは負け越し、27日からの巨人3連戦の初戦は0-9と大敗。あらためて見ると、横浜DeNA(11勝1敗)以外、他の4球団には僅差とはいえすべて負け越しているのが現実だ。守備の乱れにより失点を重ねることも少なくない。

「若さゆえ、ちょっとしたことでプラスにもなるし、マイナスになることもある。でも、この若さはカープにしかない強味ですから、思い切り行くしかない。ファームで教えていた時も若い選手には、『今が大事なんだ』といつも言っていました。とにかく先のことを考える余裕なんて、今のカープの選手には必要ない。とにかく1試合、ワンプレイを大事にしてほしいですね。その積み重ねが、結果として表れる」(山崎氏)

 15年ぶりのAクラス、初のクライマックスシリーズ進出を見据えながらの後半戦。安芸の宮島が紅葉で真っ赤に染まる頃、「コイ」の話題はまだ続いているのだろうか。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る