【プロ野球】中村紀洋、戦力外から掴んだ8年ぶりの球宴に懸ける思い

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Nikkan sports

ファン投票によって、8年ぶりのオールスター出場を果たした中村紀洋ファン投票によって、8年ぶりのオールスター出場を果たした中村紀洋 2004年以来、8年ぶり8度目のオールスター出場を果たした中村紀洋(横浜DeNA)。ファン投票での選出は、実に10年ぶりのことだった。

「オールスターはもう難しいだろうと思っていましたけど、元気な姿を見せられる機会をいただきました。ファン投票で入れていただいたみなさんに、豪快なスイングを見てもらいたいです」

 オールスター明けの7月24日に39歳となる男の言葉に実感がこもる。振り返れば、オールスター出場の足跡が、中村の激動の野球人生を伝えている。

 4年連続オールスター出場(99~02年)の時期は、近鉄『いてまえ打線』の顔として球界を代表する打者にまで上り詰めた絶頂期。00年には本塁打、打点の二冠に輝き、01年も打点王を獲得し、リーグ制覇に貢献。年俸も5億円を超えた。しかし02年オフ、メジャー挑戦を表明し、ニューヨーク・メッツと契約寸前までいくも破談。ここからすべての歯車が狂っていった。

 一転、近鉄に残留したものの、ファンも周囲も反応は冷ややかだった。そこに故障も重なり、不本意な成績のまま、05年にポスティングシステムでロサンゼルス・ドジャースへ移籍するも、チャンスをものにすることができず、わずか1年で帰国。さらに翌年、古巣・近鉄と合併したオリックスに入団したが、故障をめぐる見解の相違から1年で自由契約となった。

 07年には育成選手からの再出発となった中日で復活を果たし、日本シリーズでもMVPを獲得したが、08年オフに国内FA権を行使して楽天に移籍。しかし、在籍した2年間で結果を残せず、10年オフに再び戦力外通告を受けた。

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