【プロ野球】「調子はいい」のに勝てない。斎藤佑樹に訪れた試練の時 (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 調子はよかった。

 それでも、先に点を与えてしまう。

 詰まった打球が間に落ちる不運があったからか。

 あるいは思わぬバッテリーミスが出たからか。

 それとも、追い込んでからカウントを悪くしてしまうからなのか。

 もちろん直接的な原因は、決め球が甘いことに尽きる。

 それでも、きっかけは小さな綻(ほころ)びだ。それが大量失点につながってしまう負のスパイラルが、今の斎藤にはつきまとう。

 吉井コーチはこうも言っていたようだ。

「調子はよかったよ。やられた感じはあるけど、あの一球(中島のホームラン)だけ。(チェンジアップではなくまっすぐでいくべきだったと斎藤自身が語っていたことについては)本人が言うんやったら、そうなんでしょう。マウンドで感じたんやから、そうなんとちゃうかな。プロのレベルは、調子がよくても抑えられるものではない。次のイニング(4回)で我慢できればよかったんやけど、あそこも1点取られたから……配球も含めて、勉強していくしかないよね」

 試合後の斎藤の表情は、シアトルでは窺い知ることはできない。しかし、どのボタンを掛け違えたことで4失点につながったのか、マウンドを下りてからの斎藤は映像を必死で逆再生して、考えたに違いない。斎藤のコメントがそれを物語っている。

「調子はいいので、次の登板には生きると思います」

 この言葉を負け惜しみにしないだけの高い修正能力を、斎藤佑樹は持っている。掛け違えたボタンがどこだったのか、斎藤ならその答えを弾き出せているはずだ。そのことだけは遠いシアトルにいても、よくわかる。

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