【プロ野球】巨人相手に完投勝利。楽天・釜田佳直「即戦力の理由」 (3ページ目)

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「ここが金沢だからよかったんです。冬は雪に降り込められて、外で練習ができない。だから、シャドーであるとか、筋トレであるとか、室内ならではのメニューをしっかりやれたんです。雪のおかげで、ボクは基本になるフォーム作りを、時間をかけてやれて、体重移動を手に入れることができたんです」

 これ、脚色してない彼の語りのそのまんま。

 自分の考えや状況を、自分の言葉と表現力で簡潔に語ってくれた。

 読売ジャイアンツを1点に抑えたこの日、その「体重移動」が効いていた。しっかり1歩歩いて投げていた。バッテリー間の18.44メートルを17メートルほどに縮めて投げていた。

 しっかり踏み込めるから、腕も存分に振れる。だから、ボールも思い切り動いている。バッテリーを組んだ小山桂司捕手のミットが何度も戸惑い、泳いでいた。

 動く剛球。そして、考える剛腕。

 対戦したジャイアンツ・杉内俊哉投手は、今、プロ球界を代表する投手だ。新弟子が「横綱」を向こうに回して、すくむどころか、ひるむどころか、釜田は言った。

「杉内さんのいろいろな面を吸収したいと思いながら、見ていました」

 ここまで言い切る不敵な向上心、そして怖いもの知らず。

 この試合で試して投げたフォークボールを、「隠し玉」とあっさり白状してしまったあたり、まだまだ可愛げも残している。このへんが「伸びしろ」なのだろう。

 やっぱり出てきたな……。

 技術と頭脳と気迫。そんな裏付けをもった怖いもの知らずだから、この夏、田中マーくんの「肩代わり」をして働いても、ちっともおかしくない快腕である。

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