【プロ野球】移籍選手の交流戦。山﨑武司、杉内俊哉、井川慶が古巣相手に秘める思い (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Nikkan sports

 また、ソフトバンクから巨人に移籍した杉内俊哉も、古巣相手にどんなピッチングを見せるのか興味深い。

 今年3月、ヤフードームで行なわれたソフトバンクとのオープン戦では、長谷川勇也、ペーニャに一発を浴びるなど5回7失点と打ち込まれた。「(ヤフードームの)三塁ベンチから出て行くのは違和感があったし、力んでしまった。久々にマウンドで焦った」と経験豊富な杉内でさえも、古巣相手に普段の精神状態ではいられなかった。それでも「僕は打たれるのは嫌。次は絶対にリベンジしたい」と語り、再戦を心待ちにしている。

 5月16日現在、杉内は勝利数(4勝)、防御率(1.20)でリーグトップをマークするなど、実力をいかんなく発揮。このまま順調にいけば、6月5、6日に行なわれるヤフードームでのソフトバンク戦での登板が濃厚で、来るべき時に向けて準備は万端だ。

 そしてもうひとり注目したいのが、かつて阪神のエースとして活躍し、6年ぶりに日本球界に復帰した井川慶(オリックス)だ。5月9日のソフトバンク戦で一軍登板を果たした井川だが、その前にウエスタンリーグで古巣相手に甲子園凱旋を果たしている。この時は6回を1失点と好投し、一軍昇格に弾みをつけた。試合後、「お客さんから歓声があって、正直嬉しかった」と甲子園での登板を振り返った井川だったが、日本球界復帰に際し、古巣への復帰も考えていたという。

「岡田(彰布)監督をはじめ、いちばん熱心に誘ってくれたのがオリックスだったので入団を決めました。でも、もしセ・リーグだったら阪神に復帰していたと思う。僕を育ててくれた球団なので......」

 その井川だが、一軍復帰登板となったソフトバンク戦で負傷し登録抹消となったが、岡田彰布監督が「もともと1回投げさせたら(登録を)抹消しようと思っていた」と語ったように、予定通りの抹消だった。では、次の登板予定はいつなのか? 幸いケガは軽症で、抹消期間が最も短い10日間で済めば、5月22日から京セラドームで行なわれる阪神との2連戦が有力になる。2年連続最下位で交流戦に突入したチームにとっても起爆剤が必要で、井川が古巣を叩いて勝利を挙げれば、大きな弾みになるだろう。

 もちろんこの3選手以外にも、古巣に対して特別な思いを抱いている選手は多いだろう。華やかな舞台の裏で、男たちの感情が交錯する交流戦。勝敗だけでなく、人間ドラマも楽しみたい。

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