【プロ野球】ヘビのように曲がるロッテ・中後悠平のスライダー (2ページ目)

  • 青山浩二●写真 photo by Aoyama Koji

 中後のスライダーに足を直撃されたのは、実は内村だけじゃない。かく言う私も、その『被害者』のひとりだった。

 昨年の夏、近畿大のエースとして活躍していた中後のボールを受けた。

 インステップで踏み込んで、しかもおよそ1メートルの長いリーチがサイドの角度から柔らかくしなる腕の振り。体は正面のマウンドにあるのに、ボールは右隣りのマウンドから飛び出してくるような感覚。中後の体を見ていると、ボールの出どころがまったく見えない。

捕るのが難しいピッチャーだなぁ、嫌なタイプ......。本当に怖いピッチャーだ。

 ストレート20球受けた直後、最初のスライダーが右のマウンドから飛び出して、途中でグニャリと曲がり、ミットをかわしてこっちの右足内転筋(ももの内側)に直撃。以降の1週間、患部はお好み焼きほどの面積で、紫色のアザが広がった。

 ヘビのようなスライダー。

『初対面』で、こんなに動くスライダー、捕れるわけない。

「このスライダーをどうやって自分の味方につけるか。それがボクの課題。いや、課題とかそんなもんやない。生きていけるかどうかの分かれ道なんです」

 頼りなさそうに笑いながら、冗談めかして言っていたが、思っていたよりずっと「自分」が見えているヤツだった。

 間違いなく、ボールが暴れるタイプ。

 大学時代はそこを見透かされ、「待っていれば四球か死球」。無理に打ちにいっても、難しすぎるボールだから、学生たちの打撃技術では打ち損じの確率大。ならば「出す(四球、死球)まで待とう中後」。

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