【プロ野球】開幕1カ月で見えたエースたちの明暗 (3ページ目)

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 セ・リーグは、パ・リーグほどエースの成績とチーム状況がシンクロしてはいないが、それでもやはり影響力は小さくはない。

 最下位の横浜DeNAは開幕投手の高崎健太郎がここまでいまだ勝ち星なし。5位・巨人の内海哲也も開幕から連敗するなど、いいスタートを切ることができなかった。

 一方で、チーム打率.211と貧打に苦しんでいる広島だが、それでもなんとか5割前後に踏みとどまっているのは、開幕2度目の登板でノーヒット・ノーランを成し遂げた前田健太の奮闘が大きい。その前田に引っ張られるように、ドラフト1位ルーキーの野村祐輔も3勝を挙げるなど健闘している。さすがにエースの前田、野村だけでは苦しいが、昨年ドラ1の福井優也や故障から復帰したかつてのエース・大竹寛、さらには昨年2ケタを挙げたバリントンらが勝ち星を積み重ねていければ、上位も十分に狙える。

 また、上位3チームのエースの成績を見ると、中日・吉見一起が3勝2敗、ヤクルト・石川雅規が1勝3敗、阪神・能見篤史が2勝2敗と、決して突出しているわけではない。それでも上位争いをしているのは、2番手以降の働きが大きい。

 特に首位の中日は、山本昌が2勝0敗、防御率0.55、山内壮馬が3勝1敗、防御率1.30、中田賢一が2勝1敗、防御率1.95。同じく首位のヤクルトも赤川克己が2勝1敗、防御率1.32、館山昌平が3勝0敗、防御率1.85、村中恭平が3勝0敗、防御率2.18と、2番手以降の投手で貯金を稼いでいる。ここにエースたちが本来の力を発揮して加われば、シーズンをより優位に戦うことができる。

 不調のエースがどこで巻き返してくるか。飛び出した若きエースはシーズンを通して活躍できるのか。その出来がチーム成績を大きく左右するのは間違いない。

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