【プロ野球】開幕1カ月で見えたエースたちの明暗 (2ページ目)

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

エースが抜けたソフトバンク、日本ハムだが、新エースの斎藤佑樹、攝津正の好投が光るエースが抜けたソフトバンク、日本ハムだが、新エースの斎藤佑樹、攝津正の好投が光る  一方、上位チームは若いエースが活躍している。ダルビッシュが抜けた日本ハムは開幕投手に指名した斎藤佑樹が早くも3勝をあげる活躍ぶりだ。それだけでなく、斎藤が「表のエース」として風除けになっていることで、「2番手エース」の武田勝は開幕から好調を維持し、斎藤と同世代の吉川光夫も大きな刺激を受けて好投を続けている。「なぜ開幕投手が斎藤なのか?」という声も強かった中で、大舞台での強さにかけて抜擢した栗山英樹監督の策がズバリ当たった形だ。

 また、和田毅、杉内俊哉、ホールトンの先発3人が抜けたソフトバンクも、攝津正が新エースとして見事な活躍を見せている。すでに4勝してハーラートップタイ。エースらしさを見せつけたのは4月28日のロッテ戦。ベンチは0対2となっても交代させず8回を投げ切らせた。その間に味方打線も奮起して追いつき、最後は逆転で勝利投手になった。首脳陣や打線から厚い信頼度が現れた試合だった。

 ロッテは藤岡貴裕、中後悠平、益田直也の大卒ルーキートリオに注目が集まっているが、エース・成瀬善久の安定感も見逃せない。勝敗こそ1勝2敗と負け越しているものの、防御率は1.67をマーク。「先発すれば試合は作ってくれる」と西村徳文監督も絶大な信頼を寄せており、2年ぶりの日本一に向けて順調なスタートを切った。そしてロッテにはもうひとり、右のエース・唐川侑己もいる。すでに4勝をあげ、投球回数もリーグトップ。

「連戦がつづくので、リリーフの負担を軽くしたかった」

 29日のソフトバンク戦で完投したあとのコメントに、若きエースとしての自覚がにじむ。安定感の成瀬、伸び盛りの唐川――ふたりのエースを擁するロッテの快進撃はしばらく続きそうだ。

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