【プロ野球】顔面死球に思う。道具の進歩が打者の技術を下げている!?

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4月8日の巨人対阪神戦で、顔面に死球を受けて負傷退場となった亀井4月8日の巨人対阪神戦で、顔面に死球を受けて負傷退場となった亀井石山建一『選手のみかた』

 プロ野球2012年シーズンも熱を帯びてきました。前田健太(広島)がノーヒット・ノーランを達成するなど、昨年同様、投高打低の状態が続いています。ただ、今年のプロ野球を見ていて、それとは別に気になることがあります。それが危険球を含めた死球の多さです。つい先日も亀井義行(巨人)と藤井彰人(阪神)が顔面に死球を受けて負傷退場。幸い、ふたりとも大事には至りませんでしたが、ひとつ間違えれば選手生命を絶たれてしまうかもしれません。それぐらい死球というのは危険なものなんです。

 死球は投げたピッチャーに非があるのは明らかです。しかし、最近の死球のシーンを見ていると、避(よ)けられるのに避けないバッターが非常に多い。避けるどころか、当たりにいくバッターもいるぐらいです。なぜ、そのようなことになってしまったのか? ひとつ考えられるのが、バッターが肘につけている防具(エルボーガード)です。

 現在、プロ野球に限らず、大学野球や高校野球などアマチュアでもほとんどの打者がエルボーガードを着用しています。もともとは選手の体を守るために作られたものですが、これによって打者は死球を怖がらなくなってしまいました。以前なら避けていたインコースの厳しい球に対しても、思い切り踏み込んでくる。そうなるとピッチャーはより厳しい球を狙い、さらに打者に近いボールを投げる。死球が多くなった背景には、そのようなことが大きく影響していると思います。

 また、死球を怖がらなくなったということは、言い換えれば、避け方が下手になったということにもつながっています。かつて死球といえば、強打者の宿命でもありました。しかし、昔の強打者は避ける技術も一流でした。落合(博満)などは、ピッチャーが投げた瞬間、ボールがどこに来るのかわかったそうです。だからリリースの瞬間、「危ない!」と判断したら、迷わず避けることができた。

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