【プロ野球】田中将大との対決を前に、
斎藤佑樹がつかんだ揺るぎない自信

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 そして、今シーズンの3度目の先発は、またも特別な舞台となることが濃厚だ。

 4月13日の札幌ドームで、おそらくは田中将大との投げ合いが実現することになる。開幕投手は開幕投手とのマッチアップが続く。ライオンズの涌井秀章、成瀬、そして田中──。

 斎藤はすでに2勝、田中は、まだここまで勝ち星がない。プロ入り後、2度目となる因縁のマッチアップは、それなりに盛り上げられるだろう。

 しかし、当事者は醒めている。

 斎藤は去年のオフ、田中との投げ合いについて、こんなふうに話していた。

「単純に考えれば、あの夏の甲子園でも田中将大というピッチャーの実力が一番上で、斎藤佑樹のいた早実は挑戦者だったんです。今もピッチャーとしての実力でいえば、田中の方が上のまま、ここまで来てる。そういう中で、もしあの(去年の)試合で自分が勝てたとしても、それだけで田中より上だっていうことにはならないでしょう。だったら直接対決ってものに意味はないんじゃないかと思うんです。だから意識してないというのはウソじゃないし、至って普通でいられたんだと思います。あれ(去年の投げ合い)は前半から後半にかけての通過点。自分にとっては、一年を通した中での通過点だったんじゃないかと思いますね」

 田中が勝てば、やっぱり。
 斎藤が勝てば、持ってる。

 どうせ、こんなふうに片付けられると思っているから、当事者は醒めてしまう。どのみち、どちらが勝っても、現時点で周りが見る田中と斎藤の力関係は変わらない。そもそも1試合の結果で、プロのピッチャーの評価が入れ替わるはずもない。

 だからこそ、通過点なのだ。

 だからといって、斎藤は田中に負けているとも思っていない。甲子園で勝ったのは斎藤だ。そして4年を経て再び相見えることとなったプロでの勝負は、まだ始まったばかりなのだから。

 とはいえ、このふたりが同じマウンドに立つとなれば、見るものの興味はそそられる。果たしてプロ2度目の投げ合い、”ジェイソン”はどちらに味方するのか。舞台は札幌、時は、13日の金曜日──。


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