【プロ野球】いよいよ開幕!ハイレベルな新人王レースを制するのは誰だ!? (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 青山浩次●写真 photo by Aoyama Koji

 一方、セ・リーグではヤクルトの2年目、山田哲人に期待がかかる。昨年は公式戦の出場はなかったが、クライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージ(中日戦)で1番ショートとして3試合を戦った。山田の持ち味はスイングスピードの速さと50メートル5秒8の足。そして何より、昨年のCSでの経験が山田の意識を変えた。「緊張感のある戦いを経験して、やっぱりプロは一軍だと思いました。今年は絶対ファームに落ちたくない。そこから先の目標は試合に出てからです」と、今年に懸ける思いを口にする。

 打者でもうひとりの注目株が、入団4年目にして初の開幕一軍をつかんだ巨人の大田泰士だ。高校通算65本塁打を放ち、将来のスラッガーとして期待されたが、これまでの3年間、一軍での本塁打はゼロ。しかし、3月20日のヤクルトとのオープン戦で一発を放つなど、プロ初本塁打の期待が高まっている。天性のスラッガーの資質は誰もが認めるところ。ひとつきっかけさえつかめば、ブレイクの予感はある。

 そして巨人には2年目の宮國椋丞もいる。杉内俊哉、ホールトンとエース級ふたりを獲得し、強力な先発ローテーションを確立した巨人だが、その中に宮國も食い込んだ。しなやかな腕の振りから回転の効いたストレートとキレのあるフォーク、スライダーを投げ込み、キャンプから首脳陣の評価を上げ続けた。シーズン前の最終登板となった3月25日のアスレチックス戦では5回1失点、9奪三振と好投。4月8日の阪神戦(甲子園)での先発が予想されている。甲子園での初登板初先発といえば、29年前に高卒2年目の槙原寛己が延長10回を投げ抜いて、完封勝利した舞台。29年前の再現なるか、注目が集まる。

 昨年以上に熾烈な戦いになりそうな新人王レース。今年はどんな若い力が躍動し、シーズンを盛り上げてくれるのか――2012年ペナントレースがいよいよ幕を開ける。

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