【プロ野球】最強巨人投手陣がメジャー相手に試すべきこと (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • 青山浩次●写真 photo by Aoyama Koji

 そして2年目のシーズンを迎えるにあたり、体重を6~7キロ増やした澤村は、今季キューバから亡命してアスレチックス入りしたヨエニス・セスペデスとの対戦が注目される。2009年のWBCで打率4割5分8厘、2本塁打、9打点の好成績を残した長距離砲に対し、与田氏は「あえてストレートで勝負してほしい」と期待している。

「ストレートを待たれているところに、あえてストレートを投げてストライクを取れるのか。自慢のストレートがどこまで通じるのか、意識して勝負してもおもしろい。今季の澤村はトレーニングを積み、体を大きくしました。ピッチャーは体のバランスが変わると、投球メカニズムで誤差が生じやすくなるんですが、澤村はそういうことをわかった上でチャレンジしていると思います。そこまでの向上心と勇気を持っているからこそ、セスペデスを抑えて自信にしてほしい」

 また、先発ローテーション入りを目指す宮國椋丞にとって、真価を試されるのがココ・クリスプ(アスレチックス)やヘスス・モンテロ(マリナーズ)ら実績のある打者との対戦だ。スイッチヒッターのクリスプは、巧打と昨季盗塁王を獲得した俊足が持ち味。一方、モンテロは一発長打のある好打者だ。

「クリスプは俊足のイメージがありますが、長打力もすごくあるので、いろいろ考えて投げなければいけないバッターです。例えばセーフティバントを警戒すると、ピッチャーはどうしても投げると同時に前に行こうとして、力のないボールとなる可能性がある。しかし、クリスプに甘い球は危険なので、その点に注意が必要です。一方、モンテロは、カウントによってバッティングスタイルを変えられるバッター。打者有利のカウントのときはきっちり振って、追い込まれるとミートを心がけます。ふたりとの対戦で、宮國にはいろんなことを考えて投げてほしい」(与田氏)

 アスレチックス、マリナーズとの対戦は巨人にとってプレシーズンゲームの扱いだが、「直後にMLBも開幕するので、メジャーリーガーも戦闘モードでくる」(与田氏)。それだけに、巨人投手陣も実戦イメージを膨らませて挑むことが重要となる。

「このバッターは日本人なら誰々と似ていると、想定しながら投げたほうがいい。自身のシーズンに向けて、ハイレベルなメジャーとの対戦をプラスにしてほしいですね。もし抑えることができれば、気持ち良くシーズンに入っていけるはずですから」(与田氏)

 日本での開幕を控えた本気のメジャーリーガーと、巨人の誇る最強投手陣との対決。戦闘モードに入った両チームを相手に、巨人投手陣は多くのことをマウンドで学ぶに違いない。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る