【プロ野球】「断トツの優勝候補」大型補強の巨人が抱える不安 (2ページ目)

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • photo by Nikkan sports

2年目の宮國椋丞も先発候補として名乗りを挙げており、ローテーション争いは激戦必至だ2年目の宮國椋丞も先発候補として名乗りを挙げており、ローテーション争いは激戦必至だ しかし、本当に必要なのは先発だったのか? 昨シーズンの途中から抑えに回り、20セーブを挙げた久保裕也が順調なら、今シーズンも開幕から抑えを任せられただろうが、オフに股関節を手術して出遅れている。復帰が予想以上に遅れるようだと、抑え不在のまま開幕を迎えなければいけない。今のところ、新外国人のマシソンと山口鉄也のふたりで補っていく予定だが、マシソンも山口も決して抑えのスペシャリストではない。だが、問題はもっと別のところにあると、他球団の編成担当者は言う。

「昨年の日本シリーズを見てもわかるように、今の野球はいかにリリーフ陣を強力にするかが大事。巨人も久保や山口など、実績も経験もある投手が揃っているが、かつてのJFKを擁した阪神や昨年の中日のように、『出てくれば終わり』というほどのインパクトはない。例えば、澤村が抑えに回るなら、今回の補強は大正解だったと言えるでしょう。しかし、そのような動きはなく、先発だけが強力になった。今の巨人にはリリーフ陣に本当に軸となる投手が必要でしょうね」

 強力先発陣は揃ったが、強力リリーフ陣の完成にはまだ時間がかかるといったところだろうか。原監督がキャンプを通じて、どんな絞り込みをするのかにも注目が集まる。

 そして、もうひとつの不安が守備だ。ショートの坂本勇人は昨年もリーグワーストの18失策を記録し、4年連続の失策王。オフにはヤクルトの宮本慎也に弟子入りして、徹底的に鍛え込まれたというが、成果を上げることはできるのだろうか。それに三遊間を組む村田も、昨年13失策と決してほめられたものではない。坂本と村田、三遊間合わせて失策が30個を超えるようだと投手心理にも大きく影響する。大事な場面で内角を攻めるのをためらうことにならないか、気にかかる。

 また、ラミレスが抜けたレフトは今のところ、高橋由伸、新外国人のボウカー、矢野謙次といったあたりが入る構想のようだが、外国人の守備力は未知数だし、高橋にもかつてのような守備範囲や強肩は期待できそうにない。ラミレスよりも劣るということはないだろうが、守備よりも打撃優先で起用を決めるとなると、やはり不安はぬぐえない。

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