鈴木誠也の復調の理由は「ボール球にも手を出すようになった」こと? 地元記者は「改善すべき課題」も指摘 (3ページ目)

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by AP/アフロ

 アルトマン記者は、「絶好球を待つだけでなく、ゾーンを広げながら打ち返せる球を探ったことが好打撃に繋がった」といい、「今後、相手投手がゾーン内で勝負してくることが増えるので、より打撃のチャンスが増える」とも話した。しかし、「鈴木にはまだ改善すべき課題もある」と同記者。

「シーズン序盤、彼はフライボールを多く打っていましたが、その比率が高くなりすぎたと考えたのか(最近は)ラインドライブに変わってきました。特に復帰以降、フライボールの率は(序盤の)ほぼ半分に減り、ラインドライブが増えました」

 どうやら、打球角度の修正が必要なようだ。確かに復帰後の鈴木は、打球の鋭さが増した一方で、当たりはライナー性に変わっている。特に、第5号(ラインニングホームラン)と第6号の打球はその傾向にあった。アルトマン記者は、「彼は守備の間を抜く長打が打てる力を持っているので、後半戦ではボールを強く打つことを目標にすべきです」と望む。同記者がそう願うのも、今後のカブスには鈴木の打力がより求められるからだ。

 カブスは7月30日現在ナ・リーグ中地区の3位にいるが、ワイルドカード争いからは離脱している。8月2日までのトレード期間では「売り手」球団となり、ウィルソン・コントレラス捕手とイアン・ハップ外野手の放出がほぼ決まっている。主力選手たちが去った後のカブスでは、長打が期待できる選手が鈴木くらいしか残っていない。そのため、「今後は強い打球を放つと同時に、自慢の選球眼で四球を多く選び出塁していくことが必要」と期待されているのだ。

 約1カ月の離脱で大きな後れを取ったと思われた鈴木だが、7月の飛躍で現地からの期待は再び高まった。アルトマン記者は最後に、「もし鈴木選手が離脱せずに6月も出場できていたら、彼は間違いなくルーキーオブザイヤー(新人王)の有力な候補になっていたでしょう。しかし、打撃は今でもナ・リーグの新人のトップ5に入ります」と述べる。前出の『NBCスポーツ』も冒頭、「今季、カブスは低迷しているが、彼らが行なったことで正しかったことのひとつは、鈴木誠也を手に入れたことだ」と記している。

 カブスの次なる主力として大きな期待が寄せられる鈴木が、後半戦でどれだけ数字を伸ばせるのかに注目だ。

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