大谷翔平の打撃は不調なのか。現地記者たちが「問題ない」と断言する理由と数字 (3ページ目)

  • 澤良憲●文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by AP/アフロ

三振数、出塁率も改善

 30打席ノーアーチは、大谷にとってもチーム首脳陣にとっても大した問題ではなかった。大谷の打撃力は昨季よりも向上している。その一端が見えたのは4月10日、本拠地でのアストロズ戦で3回に放った、今季初長打となる二塁打。その打球速度は自己最速の119.1マイル(約191.7キロ)。左打者ではメジャー最速だ。本塁打が出なかったのも、本人の言うとおり、ただ軌道にズレがあっただけだったのかもしれない。

 昨季と大きく違う点のひとつは、今季の大谷の後ろ(2番)にはマイク・トラウトが控えていることだろう。昨季に比べると相手バッテリーから勝負される機会が増えており、大谷自身も「ストライクは去年より、特に最後のほうより多い印象はあります」と認識している。前出の『ジ・アスレチック』には次のような記述もあった。

「『ベースボール・サバント』(MLB公式のデータ分析サイト)によれば、2022年大谷に投げられた球のうち29%がプレートの中心を通っている。これはリーグ平均(26%)よりも高く、(大谷の)昨季の22%をはるかに上回っている」

 トラウトは16日に四球を受けてスタメンから外れているが、現地時間22日からの本拠地でのオリオールズ戦で復帰すると予想されている。チームにとってはもちろん、打撃の調子を上げてきた大谷にとっても成績アップの追い風になるだろう。

 さらに、エンゼルスの専門メディア『ヘイロー・ハングアウト』のエバン・デサイ記者は、大谷の打撃について次のような意見を述べる。

「(大谷に対する)相手投手のアプローチは変わったかもしれませんが、それは昨季の成績から予想されていたことで、彼はそれらに対応できる才能があることを私たちは知っています。もちろん長いシーズンの間で調子が落ちることはあります。大谷選手にとってそれが、たまたまシーズン序盤だっただけのことでしょう」

 とはいっても、昨季の同時期に比べるとわずかであるが三振数は増えている。それについて、デサイ記者は、次のように反論した。

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