秋山翔吾がレッズで活躍できなかった3つのカギ。MLBの流れが変化、逆風をモロに受けてしまった (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

イチローの登場によって...

 そんな1番バッター不在の時期が長かった時、2001年にイチロー選手がシアトル・マリナーズからデビュー。メジャー1年目にア・リーグ首位打者と盗塁王を獲得、さらには史上ふたり目の新人王とMVPを同時受賞し、一躍メジャーを代表する「不動の1番打者」としての地位を固めたのです。

 このイチロー選手の活躍により、日本球界に対する見方が一気に変わりました。メジャーの各チームは人材不足に陥っていた1番バッターを求めて日本人選手の動向をチェックし、理想のリードオフマンを探し回ったのです。

 松井稼頭央選手(西武→ニューヨーク・メッツ/2004年)、井口資仁選手(ダイエー→シカゴ・ホワイトソックス/2005年)、岩村明憲選手(ヤクルト→タンパベイ・デビルレイズ/2007年)、西岡剛選手(ロッテ→ミネソタ・ツインズ/2011年)、青木宣親選手(ヤクルト→ミルウォーキー・ブルワーズ/2012年)......。不動の1番バッターとして期待される日本人選手が毎年のように海を渡りました。

 しかしその後、メジャーの傾向が少しずつ変化していきます。得点力をアップさせるには2番に強打者を置くほうが効率的というデータに基づいた「最強2番バッター説」の流行りを受けて、強打の1番バッターも脚光を浴びるようになってきました。

 ヒューストン・アストロズのジョージ・スプリンガー(現トロント・ブルージェイズ)の活躍により、「スラッガータイプの1番打者」を採用する傾向は一気に加速しました。そして今季はロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手、ニューヨーク・ヤンキースのジョシュ・ドナルドソン、さらに本塁打王にも輝いたマイアミ・マーリンズのホルヘ・ソレアなども、続々と1番に起用されています。

 3番や4番が打席に立つ前に出塁してチャンスを作る、いわゆる「テーブルセッター」のような役割でありながら、1番にもパワーを求められるようになりました。秋山選手もその傾向のあおりを受けたのは間違いありません。

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