秋山翔吾がレッズで活躍できなかった3つのカギ。MLBの流れが変化、逆風をモロに受けてしまった

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

福島良一「MLBコアサイド」

 1973年の初渡米から50年にわたってメジャーリーグの造詣を深めてきた福島良一氏に、さまざまな魅力を伝えてもらう「MLBコアサイド」。今回はシンシナティ・レッズを退団した秋山翔吾選手について、様々なメジャーリーグの背景を語ってもらいました。

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レッズを退団することになった秋山翔吾レッズを退団することになった秋山翔吾この記事に関連する写真を見る 4月5日(日本時間4月6日)、シンシナティ・レッズが秋山翔吾選手の退団を発表しました。メジャー3年目を迎えるはずだった秋山選手でしたが、4月3日に開幕ロースターから外れ、マイナー行きを拒否したためにリリースとなったとのこと。開幕直前の出来事に、ファンもさぞ驚いたと思います。

 2020年1月、秋山選手はレッズと3年総額2100万ドル(約23億1000万円)で契約。メジャー30球団で唯一、日本人選手が在籍したことのないチームから即戦力として評価され、「不動の1番バッター」になることを期待されました。

 ところが、メジャー1年目は新型コロナウイルス感染拡大の影響で春季キャンプが中止。そして昨シーズンは妻の不慮の事故と自らの故障、今春はロックアウトによる短縮キャンプと不運な状況が重なり、結局2年間で通算打率.224、0本塁打、21打点、9盗塁という成績に終わりました。

 開幕を前にロースターから外されてしまった原因のひとつとして、もちろん秋山選手が1番バッターとしてレッズの求める結果を残せなかったことは否めません。しかし、外された原因はそれだけとは言いきれません。なぜならば、昔と比べてメジャーリーグの野球が大きく変わってきたからです。

 メジャーリーグでは久しく「真の1番打者が不在」と言われ続けてきました。1980〜190年代にオークランド・アスレチックスなどで活躍し、メジャー歴代1位の通算1406盗塁で「世界の盗塁王」とも言われたリッキー・ヘンダーソンのような理想的なリードオフマンが引退していったのが背景にあります。

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