「マスターズ最終日の松山英樹を見てイチローを思い出した」。元マーリンズ球団社長が感動した日本人スーパースターの「風格」 (2ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Kyodo News

「だからこそ、最終日の中継を見ていた時に、ヒデキの振る舞いに感動したんです。もちろん、極度の緊張状態にあったと思いますが、感情を抑えて冷静さが伝わってきました。たとえば15番ホール(PAR5)で、フェアウェイセンターから2オンを狙ってグリーン奥の池に入っても、悔しさや焦りといった感情は見えませんでした。歴史的快挙がかかった大舞台で、平常心を保ちながらプレーしている松山の姿を見て、私はイチローを思い出しました。あと最後の18番ホールで、松山のキャディーがピンに向かい帽子をとって一礼するシーンがあったのですが、これもすごく印象に残っています。この王者が持っているのは、ただゴルフがうまいわけじゃない。すべての振る舞いに風格が漂ってきました」

松山英樹に期待すること

 これまでサムソンはアメリカだけでなく、日本でもイチローとともにすごした経験がある。その時、日本でのイチローの振る舞いを見て、サムソンは感心したという。だからこそ、シンボルとなった松山の言動に注目し、期待していると語る。

「もちろん、日本のすべての有名人を知っているわけではありませんが、イチローを見た限り、わがままが許されるような状況ではありませんでした。残念ながらアメリカでは知名度が大きくなればなるほど、横柄な態度をとったり、人を見下したり......そういう人を何人も見てきました。でも、日本ではそういうことが許されないと感じました。

 イチローはいつも礼儀正しく、物事に対してのリスペクトがほかのアメリカの選手と違っていました。約束はきっちり守りますし、とにかく相手の時間を大切にしていました。イチローは日本における自らの役割や責任がわかっています。これまで私はバリー・ボンズなど、多くのスーパースターや有名人と接してきましたが、イチローよりもうまく振る舞える人に会ったことはありません」

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