開幕投手のダルビッシュ有「もう投げられる準備はできている」。5年ぶりに「10勝の壁」を超えられるか (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

オープン戦で見せた復活の予兆

 オープン戦初登板となった3月21日のコロラド・ロッキーズ戦では、3イニングを3安打無失点に抑え、無四球6奪三振と快投。バドレス公式サイトが「オフの厳しいトレーニングを経て、目が眩むような初登板」という見出しをつけたように、地道なコンディション調整の成果が表れていました。

 圧巻だったのは、初回1アウトから2回まで圧巻の5者連続奪三振です。ストレートは最速96マイル(約154キロ)を計測し、高めの速球で空振り三振を奪っていました。また、低めのカットボールなどを駆使し、変化球でバッターを翻弄していたのも印象的です。

 続く3月27日のクリーブランド・ガーディアンズとのオープン戦でも、ダルビッシュ投手は4イニングを2安打1失点、無四球4奪三振と好投しました。バッターに芯で捉えられたのは、4回にソロ本塁打を喫した時だけ。本人も「最初の3回は真っすぐでどんどん押せた。ストライクも真っすぐで取れた」と振り返っています。

 このガーディアンズ戦でも、変化球のキレは冴え渡っていました。抜け球もほとんどなく、すべて低めに決まって4つの空振り三振。「もう試合(公式戦)に投げられる状態ができている」と語るほど、うまく調整が進んでいるようでした。

 昨シーズン後半戦、不振に陥った時はコントロールの乱れが失点につながりました。ダルビッシュ投手が5年ぶりにふたケタ勝利を挙げるには、コントロールの改善がカギになると思います。

 オープン戦2試合の成績は、合計7イニングを投げて5安打1失点、無四球10奪三振。ストレートも走り、変化球も低めに決まるなど、実に安定したピッチングを披露しました。オープン戦最後の登板となった4月1日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦は2失点を喫しましたが、154キロのストレートで三振を奪うなど、エースの風格は十分です。

「彼は自己分析力があり、自らを向上させるために何が必要か、よく理解している。昨年のケガから回復し、先発投手陣の柱として能力を取り戻している」

 今季からパドレスの指揮を執るボブ・メルビン監督は、復調してきたダルビッシュ投手に大きな信頼を寄せています。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る