大谷翔平のMVPはどの数字を見ても確実。現地メディアの関心は「満票での獲得かどうか」 (2ページ目)

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by NIKKAN SPORTS/AFLO

 こういった現地の予想の背景について、あらためてア・リーグMVP候補者の今季の成績を振り返りながら理由を明かしていこう。

 まずは大谷の成績だ。打者としては155試合に出場して打率.257、46本塁打、100打点、26盗塁、.965OPS(出塁率と長打率を足した数字)を残し、投手としては23試合に先発して130回と1/3を投げ、9勝2敗、防御率3.18、156奪三振を記録している。 

 続いてゲレーロJr.は161試合に出場し、打率.311、48本塁打(ロイヤルズのペレスとタイ記録)、111打点、1.002OPSを記録。史上最年少(22歳)での本塁打王を獲得し、ア・リーグのハンク・アーロン賞にも選ばれている。

 最後のセミエンは全162試合に出場し、45本塁打と102打点、.837OPSを記録している。本塁打数と打点は、自身キャリアハイ。特に本塁打は、二塁手としてはメジャー歴代最高記録だ。

 打撃成績だけだとゲレーロJr.が一歩リードしているが、現地では「大谷には遠く及ばない」といわれている。その理由は、大谷のWAR(打撃・走塁・守備・投球を総合的に評価した選手の貢献度を表す指標)にある。

 近年のMVP投票においては、このWARが重視されている。打者や投手を問わず、客観的にその選手を評価できるからだ。『ファングラフス』と『ベースボール・レファレンス』というデータ分析サイトが、それぞれの数値を提供している。『ファングラフス』のfWAR(「f」はファングラフスの頭文字)が指標として使われることが多く、「選手のfWARが6.0以上であればMVP級」とも言われている。

 ナ・リーグのMVP予想がハーパーとソトで割れているのも、両者のfWARが6.6だからだ。指標が同数の場合、打者ならばOPSや長打率などで評価されるため、前述のように打撃成績が優れているハーパーのほうが優位、という意見が多いのだ。

 一方でア・リーグ3人の打撃fWARは、大谷が5.1、ゲレーロJr.が6.7、セミエンが6.6。ゲレーロJr.がトップだが、大谷には投手としてのfWAR、3.0が加えられる。

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