筒香嘉智はパイレーツと再契約するのか。地元メディアは熱望も交渉を難しくしそうな2つのネック (2ページ目)

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by Kyodo News

 双方の願いはその結果をもって叶えられた。筒香はパイレーツ移籍後、43試合の出場で打率.268、本塁打8本、25打点を記録。さらに長打率は.535で、8二塁打、1三塁打を放ち、チームの期待に応えてみせた。そしてチームから「残ってほしい選手である」と評されることになった。

 筒香の残留を願う声は地元メディアからも出はじめている。例えば、パイレーツ専門メディア『ラム・バンター』は、「ピッツバーグ・パイレーツは筒香嘉智と再契約すべき」と提言する記事を掲載。また、著者が現地記者に取材を行なったところ、『ピッツバーグ・ポスト・ガゼット』ジェイソン・マッキー記者は「彼は非常にいい打者で、私はプレーヤーとして彼が好きです。まだ課題もありますが、彼はチームにない力を持っています」とコメント。さらに『バックス・ダグアウト』ジェイク・スルボドニック記者からは、「残留を希望する数値を1から10で例えるなら、私は間違いなく10です」という非常に前向きなコメントを得ることができた。

 このように筒香は、チームの内外から残留が望まれている。しかし交渉はまだ始まっておらず、その結果も現地の願いどおりになる保証はまだない。

 パイレーツと筒香との残留交渉で一番のネックとなりそうなのは、年俸の問題だろう。筒香の2021年の年俸は700万ドル(約7億6800万円)だった。今季はレイズがその大部分を負担していたので、パイレーツとしてはメジャー最低保障の年俸57万500ドル(約6400万円)を負担するだけでよかったが、来季はそうはいかない。

 筒香に対しては少なくとも億単位の年俸提示をすることが期待されるわけだが、「700万ドルでの再契約」はさすがに非現実的な話だろう。

 そもそもパイレーツは潤沢な資金を持つ球団ではない。米スポーツチームの年俸データを掲載している『スポートラック』によれば、今季のパイレーツ総年俸は5435万6609ドル(約60億6800万円)で、メジャー全体では28位。また、今季チーム内で最も高い年俸はコリン・モラン一塁手の280万ドル(約3億1260万円)だったという情報も掲載されていた。

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