菊池雄星と澤村拓一はもっと評価されるべき。斎藤隆が「隠れたすごさ」に着目 (4ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by AFLO

 そうしてメジャーのマウンドにたどり着くまで、澤村は紆余曲折の野球人生を歩んだ。

 斎藤佑樹(日本ハム)や大石達也(元西武)、大野雄大(中日)らが同年代にいて、"豊作"と言われた2010年ドラフト1位で巨人入団。1年目から11勝、6年目には37セーブを記録してセ・リーグの同タイトルを獲得したが、以降は必ずしも持ち味を発揮できなかった。

 2020年シーズン途中のロッテ移籍を経て、同年オフ、海外FA権を取得して海をわたる。斎藤氏が想像するように、これまでとは違う心境でメジャーのマウンドに立っているのかもしれない。

 では、投げている球自体に変化はあるのだろうか。

「スプリットは少し面白い動きをしていますね。スプリットチェンジとは違い、シュート気味に落ちる。真っすぐは最初の頃、右バッターの顔のほうに抜けていくようなこともありましたけど、今はそういうボールもほとんどない。

 ルーキーとして見ると、かなりボールの扱いが上手というか、しっかり操れている感じはしますね。投げているボールは、日本にいた頃とほぼ一緒だと思います」

 滑りやすいと言われるボール、日本より硬いマウンドに対応し、自分の持ち味を発揮している。だからこそ、メジャーでも抑えられていると斎藤氏は指摘する。

「日本でのピッチングをそのままメジャーでやれていることがすごいですよ。僕は勝手に、日本のピッチャーはだいたいメジャーで通用すると思っています。実際にアメリカに行って通用しない人は、日本でやっていることができないわけです。澤村は日本でやっていることがそのままできているのは、それだけでもすばらしいと思いますね」

 メジャー移籍後も成長曲線を描く菊池雄星と、新天地で1年目から能力を存分に発揮している澤村拓一。ともにシーズン終盤までプレーオフ出場を争うチームで投げながら、緊張感のなかで最高峰の勝負を楽しみ、意義深いシーズンのフィナーレに向かっている。

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